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 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が茨城県では解除され、5月22日(金)から県内の映画館の営業が再開されたので、23日(土)に、つくば市にあるMOVIXつくばへ行ってみた。
 劇場内は、観客と観客との間は横に座席3つ分空いており、使用禁止の席には黄緑色のテープが貼られていた。感染予防のための劇場スタッフの配慮には頭が下がる思いだ。

 観てきた作品は、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(01~03)を監督したピーター・ジャクソンによる『彼らは生きていた』。第一次世界大戦で西部戦線に派遣されたイギリス兵たちのドキュメンタリーである。
 19歳から35歳までが志願資格の規定であるが、15歳で軍医のチェックを受けたら「よし合格」と言われたり、「18歳と1か月」と年齢を答えたら「19歳」にされたりと、驚くようなエピソードが戦争に参加した男たちの声で語られるが、入隊した後の訓練の様子も映し出されていろいろと知ることができるとはいえ、これまで観てきた記録映像と変わらないモノクロのままなので、少々退屈した。
 しかし、彼らが戦場の最前線へと到着した時から、モノクロだった映像が徐々にカラーとなり、人々の声も聞こえてきて、「リアル」がグッと観客に迫ってくる。
 それでも、戦闘のないときは「仲間達とキャンプをしている」ような気分という証言があるように、楽器を楽しそうに弾いていたり、仲間たちとカメラに笑顔を向けたりと、男たちのリラックスした場面がずっと続くのだが、ドイツ軍の地雷が爆発して土が勢いよく上空に吹き飛んだり、何台もの“タンク”が無感情に進行していったりする映像には、寒々とした怖さが漂う。
 そして、兵士たちが敵へと突撃していくシーンは、カメラをじっと見ていた兵士が目をそらす瞬間に垣間見せる不安の表情がインサートされたり、生きて戻った兵士が右手の震えが止まらないまま呆然と歩くショットが映し出されたりと、戦場の凄惨極まりない様子が嫌という程伝わってくる。
 捕えられたドイツ兵たちが負傷したイギリス兵を担架で運ぶ場面は、“まったくもってこの戦争は無意味だ”と捕虜と意見が一致したという兵士の言葉と共に、強く印象に残った。
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 5月15日(土)、DVDにて。
 妖しくも美しい香港の街のネオンがフィルム・ノワールの雰囲気を漂わせており、異国の地で3人の主人公の友情が壊れてゆく展開は、ジョン・ウーの『ワイルド・ブリット』(90)に似ているが、ちょっと一捻り加えてあって、ありきたりな物語ではあるけれども、けっこうハラハラさせてくれる。
 麻薬組織のヘリコプターからの機銃掃射によって警察官たちが一気に死んでゆくシーンは、まるで『ダイ・ハード』(88)のような大規模なアクションで、生身の男たちが拳銃で激しく撃ち合う香港ノワールには似つかわしくないようでいながら、後半のクライマックスには、『ヒーロー・ネバー・ダイ』(98)と『ザ・ミッション 非情の掟』(00)を合わせたような激しい銃撃戦もあり、それでいて作品のバランスが崩れていないところは、『ディバージェンス 運命の交差点』(06)や『インビジブル・ターゲット』(07)を監督したベニー・チャンの手腕である。
 死んだはずの男が生き残った理由がかなり強引ではあるし、3人の友情に描写を割きすぎて物語のテンポがちょっと遅いが、過ちを償おうとする男たちの熱い感情に痺れる佳作となっている。
 1月4日(土)、シネマヴェーラ渋谷にて。
 鑑識が犯行現場に落ちていた毛髪を調べたり、主人公の刑事が犯人の姿をマネキンで再現したりと、警察による犯罪捜査にはリアリティがあって引き込まれるし、新聞記者のヒロインが連続殺人鬼の持っていた雑誌のバックナンバーから事件解決の糸口を導き出す展開は、ドラマティックでハラハラさせられる。
 また、マネキンが何も表情のない顔をグルっと観客へ向けるショットには吃驚させられるし、刑事が雨の降る夜の街を見ながら犯人の心理を推理してマネキンに話しかけるシーンは、刑事と犯罪者の感情がシンクロする危うい雰囲気があり、のちにマイケル・マンが監督した『刑事グラハム/凍りついた欲望』(86)を先駆けているようでもある。
 そして、刑事が警察署の部屋から出て誰もいなくなったと思った後、スクリーンに背を向けて動かないはずのマネキンがヌッと立ち上がる瞬間にはギョッとさせられた。「犯人はどうやって警察署に侵入したんだろう?」なんて理屈はどうでもいいのである。
 誰もいない昼下がりの街を独りでアパートへと歩いてくる犯人を捉えたシーンの緊張感に思わず息を止めてしまった後に繰り広げられる工場での銃撃戦にもソリッドな迫力がある。『三つ数えろ』(46)で老いた将軍の執事を演じたチャールズ・D・ブラウンが主人公の上司を演じていたっけな。
 12月20日(金)、ラピュタ阿佐ヶ谷にて。
 高速道路を疾走するスポーツカーの主観映像から始まるオープニングの迫力に思わず酔ってしまったが、主人公である元レーサーの自動車教習所員に見崎清志というプロのドライバーを起用していることからも、カーアクションをメインにした作品を描きたいという作り手たちの意思がアツい。
 見崎本人が参戦したマカオグランプリの映像も使用し、カメラがブレてレースカーの姿がはっきりと見えないショットもあるが、それゆえにレースの迫力がダイレクトに伝わってくるし、雨に濡れた道路に青や赤の信号や街灯、そしてテールランプの光が滲んで、抗いがたい魔力を放っている(見崎がマカオの街でオレンジジュースを飲んでいるショットとか、唐突に挿入されるのには、ちょっと首を傾げるけれど・・・)。
 特に、後半のクライマックスとなる主人公と教え子の走り屋娘とのチェイスは、愛憎半ばする二人の感情が交錯し、街灯とも星とも区別がつかない眩い光の中で、まるで異次元に飛び出したような幻想的なムードが漂っており、雪原で車同士がまるでダンスをしたり、激しく打ち寄せる波をバックにスピードを競い合ったりと、けっこう呆気にとられはするけれども、ジャズい音楽が映像とマッチしてカッコイイのである。
 しかし、84分というタイトな上映時間であるとはいえ、ひたすらカーアクションで押して押して押しまくる演出は、正直なところちょっとシンドイ。もう少し物語に起伏があったらなぁ・・・。
 8月31日(土)、シネマサンシャイン土浦にて。
 トッド・マッカーシーが著し、高橋千尋が訳した『ハワード・ホークス ハリウッド伝説に生きる偉大な監督』に、この世での最後の十五分間を一本の映画を見て過ごすとしたら、それは『リオ・ブラボー』だと、本作を監督したクエンティン・タランティーノは答えているという記述があるが、物語の筋がなくて登場人物たちの日常を緩やかな語り口で描いてゆくところは、やはりホークスの手がけた傑作西部劇の悠然としたテンポを思い出させるし、彼らの一挙一動をじっくりと捉えた演出は、タイトルの元ネタのひとつである『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)を手がけたセルジオ・レオーネを髣髴とさせるタッチである。
 展開を急ぐことはしないけれども、落ち目のTVスター(レオナルド・ディカプリオ)と相棒のスタントマン(ブラッド・ピット)がハリウッドでなんとか生き残りたいという焦りやそれでも揺るがない二人の絆と、スターへの階段を上がってゆくことを予見させるシャロン・テート(マーゴット・ロビー)の眩しい魅力を、徐々に徐々にスクリーンに刻みつけていきながら驚愕のクライマックスへ突入するのであるが、「悲しい事件をオレがぶち壊してやる!」というタランティーノの“映画のデタラメパワー”が炸裂してとても痛快。それゆえにラストには哀愁が漂っているんだけどね・・・。
 ホントはけっこうイイ仕事をしてるのに自分のスター人生は終わったと思って泣き出してしまうディカプリオには、女の子の前でもメソメソして笑わせながらも彼の境遇にはクリント・イーストウッドを思い出してしまうし、カルト集団の住む廃墟となった映画のセットにたったひとりで踏み込むタフなピットも、ゾッとする怖さを漂わせたヒッピーたちと自分を馬鹿にしたクソ野郎をぶちのめす狂暴演出と相まってナイスだが、とにもかくにも観客を惹きつけて離さないマーゴット・ロビーの存在感にマイってしまった。
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