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 1月30日(日)、シネマサンシャイン土浦にて。
 『悪の法則』(2013)と『最期の決闘裁判』(2021)を足して二で割ったような“タフな女性”を描いたリドリー・スコットらしい作品。上昇志向がやたらと強くて無茶苦茶に剛腕だけれども、時代を先取りした意見も主張していて、キツい眼をしたレディー・ガガの猪突猛進な演技がグッド。
 また、家業を継ぐつもりがなかった男が、巨大なファッションブランドを継ぎ、親族を蹴落として権力を掌握しながらも、浪費癖によって経営者の座を追われ、やがては破滅してゆく展開は、まるで『ゴッドファーザー』シリーズ(1972~1990)のようだ。死が近づきつつある父親が一度は勘当した息子をグッと抱きしめるシーンは、監督作で何度も“慈悲”を描いてきたスコットらしい場面である。
 大仰なジェスチャーで「コンニチハ!」なアル・パチーノや、無能だけれども自信過剰にも程があるジャレッド・レトの、富への執着でギラギラしていたり、父親に認められたくてギャアギャア喚いたりと、劇薬のような過剰演技は皮肉な笑いを誘うけれども、物語がちょっと平板で盛り上がりに欠けるのが残念。
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 1月16日(日)、TOHOシネマズ日比谷にて。
 「これまでのシリーズのヴィラン達が勢揃いするのだから、もしかしたら……?」と、なんとなく感づいていたとはいえ、スクリーンで“ビッグ・サプライズ”を目にした瞬間は、思わず「おぉっ!」と声を出してしまうほど興奮した。いやぁ、とてもワクワクしたねぇ。
 自分の正体がバレて迷惑をかけてしまった大切な人々を、ドクター・ストレンジの危険な魔術によって助けようとしたために、却ってニューヨークに危機を引き寄せてしまい、ラストで「大いなる力には大いなる責任がともなう」決断をするスパイダーマン/ピーター・パーカーの姿からは、 “哀しいポジティブ”を漂わせた「ヒーローの孤独」が痛いほど伝わってくるし、苦しい過去を乗り越えようとするヒーローとヴィラン達のセカンド・チャンスの物語には、スパイダーマンたちの献身と悪役たちの哀しみに、ストレートに胸を打たれた。正気に戻ったエレクトロがスパイダーマンに語りかける言葉からは、「もしかしたら、別の世界には……」という『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)も想起させて感動的。グリーン・ゴブリンを演じたウィレム・デフォーは、やっぱりコワいね。「善」の表情はとても穏やかで“人のいいオジサン”って感じだから、「悪」の感情に支配されたときが余計に恐ろしいんだよ。
 『スパイダーマン』(2002)からのスパイダーマン作品を全て観ていないと、あまり興奮もしないのかもしれないが、とても楽しくてちょっとほろ苦い快作となった。
 1月8日(土)、USシネマつくばにて。
 『ヒート』(1995)のような市街地での激しい銃撃戦をはじめ、ワルだらけの敵のアジトで縦横無尽にバトルしたり、かつて同僚だった警部と犯罪者が取調室で互いに感情をぶつけあったりと、アツい場面がてんこ盛りである。ビルから車に飛び降りて敵を追いながら子供をスタイリッシュに助けるドニー・イェンの“熱血”も、かつて自分を裏切ったお偉方を非情な手段で殺してゆくニコラス・ツェーの“非情”も、とにかくカッコイイ。ちょっと『ダークナイト』(2008)みたいな感じもしたな。警官たちも悪党たちも、仲間同士の絆が強くて、やっぱりアツい。
 特に、教会で繰り広げられる2人の死闘は、エモーショナルで手に汗握る迫力ながらも、ステンドグラスの光によって荘厳な雰囲気を漂わせており、ローランド・エメリッヒが手がけた『ホワイトハウス・ダウン』(2013)をちょっと思い出した。まぁ、本作とは何の関係もないけれどね。監督のベニー・チャンは、アクションの舞台となる空間を広く捉えて登場人物たちの情動を描く手腕がとても巧い。
 刑事と妻の愛情パートがちょっと物足りない気はするけれども、126分の上映時間を一気に突っ走る傑作だ!
 2月26日(金)、シネプレックスつくばにて。
 仕事中に誤って恋人を殺してしまったことを悔んで口に銃を突っ込んで自殺しようとしたり、激しい雨に打たれながら敵と殴り合いを繰り広げたりと、本作でアブない元警察署長として顔を出したメル・ギブソンが『リーサル・ウェポン』(87)で演じていたアツい“人間凶器”へのオマージュを、主人公のエミール・ハーシュが体現していて、思わずニンマリする。
 また、誤射によって本来なら望まぬ境遇で苦悩する警官が事件に巻き込まれたり、超巨大ハリケーンの接近によってマンションから出られなくなった人々と強盗団が戦ったりと、まるで『ダイ・ハード』(88)を想起させる物語であり、低予算ながらも本作のスピリットは、80年代に二つの傑作シリーズを製作したジョエル・シルバーへのド直球なリスペクトなんじゃないか?敵と無線を使って駆け引きするシーンもあるしね。
 マンションの一室が武器庫みたいになっていたり、ナチスに盗まれた絵画が出てきたりと、映画を盛り上げるアイディアはいっぱいなのだが、いまいち物語と絡み合っていないのが勿体ない。避難の必要な規模のハリケーンなのに風も弱々しいし、“警官嫌いのペット”が登場した途端に結末もなんとなく分かってしまうのが残念だが、眼光鋭いギブソンが弾丸を放つシーンだけでも映画のボルテージがグッと上がる。主人公と行動を共にする警官を演じたステファニー・カヨがキレイ。
 映画館のロビーには、絶対に『花束みたいな恋をした』を観に来たわけじゃないであろうオッサンたちが大勢いて、失礼ながらも「あぁ、俺の仲間がいっぱいだなぁ……」と脳内で呟いた。入場者プレゼントの特製クリアファイルももらえた。
 オープニングからいきなり顔に水がブッかかったり、ミサイルの発射で劇場内がピカッと光ったりと、「映画を体感させる」4DXの特殊効果が楽しいが、南雲と柘植が再開するシーンでは、もうちょっと雪を降らせてくれないかねぇ。劇場内は暗いから余計に見えにくかったのかもしれないけれど、スクリーンの上からパラパラッとしか降らなかったのが残念。まぁ、とても良いシーンだから、特殊効果を敢えて抑えたのかもしれないけれどね。
 でも、「なんか騙されてるなぁ」とは思いながらも勢いで納得させてしまう物語の強度は相変わらずだし、後藤隊長はやっぱりカッコ良かったですよ。特車二課のメンツが徐々に揃ってゆく展開はエモーショナルだしね。1993年の初公開から28年経っても、全然古くならない傑作だね。
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