2月14日(土)、DVDにて。
 本編の約半分の時間を割いて、小さな田舎町の住人たちが抱える葛藤を炙り出しつつ、三人の男たちが強盗を計画してゆく状況も描いてゆき、クライマックスの銀行襲撃によって、人々の運命が突如として変わっていく様を、タイトな展開によって観る者を巻き込んでゆく監督のリチャード・フライシャーの手捌きがスゴイ。
 ラストのアクションは、被弾した男たちが苦痛の表情もなくバタッと倒れてゆく様が、人間が息をしない“物体”になった瞬間を見せつけられたかのようで、ゾクッとさせられる。
 出演者では、サディスティックな犯罪者を演じるリー・マーヴィンが凄まじい。ぶつかってきた子供の手を足でグリグリと踏みにじったり、強盗の最中に命令に逆らった女性を躊躇なく射殺したりと、後の主演作である『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(67)でのプロフェッショナルな雰囲気は微塵もなく、まさに“狂犬”だ。
 せっかく『暗黒街の弾痕』(37)のシルヴィア・シドニーが出演しているのに、大して出番もないのが勿体ないが、キビキビとした演出に、思わず手に汗握る佳作である。
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 1月2日(金)、DVDにて。
 10年前に仲間を裏切った男をパリへ連れてゆく仕事を請け負った殺し屋が、その道程で自分の正体を知った人間を次々と殺したり、悠然とした男の言葉に翻弄された弟分も油断ならなくなったりと、末梢神経を刺激するような激しいカット割を使用せずとも、静かな緊張感が物語に漂っている。
 また、登場人物たちの思惑も二転三転し、彼らの本心が映像からは掴めえないところも、この映画に引きつけられる要因の一つだ。捕らえられても飄々と達観している男を演じたテレンス・スタンプや、たくさんのアクシデントに遭遇しても寡黙に仕事を全うしようとする殺し屋のジョン・ハートに、初めての仕事に興奮しながらも人質の言葉に心が揺らぎっぱなしの弟分をティム・ロスといった、クールな表情の俳優たちによる演技が、余計に彼らの内面を複雑にさせているのかもしれない。
 前半でのスタンプと誘拐犯たちとのアクションは映像のキレに乏しいし、殺し屋たちを追いかける老警官を演じたフェルナンド・レイなんて、事件現場に登場するだけで、ホントに捜査しているのかもよく分からないが、オフビートな展開によって、どこか寓話のようにも感じられ、なんとも不思議な作品である。
 1月1日(木)、DVDにて。
 腹に一物ある人々に翻弄されながらも、己の肝っ玉の太さだけを頼りに、事件の真相に辿り着こうと奮闘する主人公の姿からは、まるで『チャイナタウン』(73)を想起してしまうが、本作は「職にあぶれた一人の男が、悪戦苦闘の末に私立探偵になるまで」の物語であり、主人公を演じるデンゼル・ワシントンが、野暮ったいながらもなかなかイイ。自分の存在意義を見出した主人公を捉えたラストは、後に『イコライザー』(14)で演じることとなる、“市井のヒーロー”の片鱗が垣間見え、カッコイイ。
 また、主人公の旧友を演じるドン・チードルが、自分の名前を白状しないヤクザにキレて、何食わぬ顔で肩を撃ち抜いたり、仲間を助ける邪魔になると思い、縛るのが面倒くさくて、捕まえていた裏切り者を絞め殺したりと、強烈なインパクトを放っている。短気な性格と殺人を主人公に咎められても、「お前を救うためだ」とか、「こいつを俺に預けるからだ」と、けろりと言ってのけるふてぶてしさが、マッドでブラックな笑いを振り撒いている。
 そして、青い闇の中で繰り広げられる銃撃戦での、撃たれたヤクザたちが人形のようにバタッと崩れてゆく様を映した、バイオレンス描写が凄まじい。一味のボスを演じるトム・サイズモアの、血だらけになって倒れながら、狙いも定まらないまま銃を撃ち、地べたを這いながら息絶えるシーンは、エキセントリックな悪役らしい死に様であった。
 作品としてきちっとまとまり過ぎているがために、物語の馬力が少々弱く感じられるのが残念ではあるが、クセモノたちの跳梁跋扈がいかにもハードボイルドらしい佳作である。
 11月19日(水)、Blu-rayにて。
 とにかくオープニングがかっこいい。ガメラの火炎噴射で船内に煙が充満する中、バイラス星人が自らの星に「地球上に恐るべき生物を発見せり、その名は・・・」と警告を送った瞬間、宇宙船が大爆発し、タイトルが画面いっぱいに広がり、「ガメラマーチ」が元気良く響き渡る展開は、かなりワクワクさせてくれる。
 過去のシリーズの映像がかなり多用されているが、本作で初めてガメラに接する子供にとっては、興味をそそるダイジェストになっているのではないだろうか。まぁ、少し長すぎる気はするけれども・・・。
 ガメラがバイラスを両手で捕まえて“水上スキー”をするシーンは、別に必死になって闘っているようには見えないし、不必要にも感じるけれども、ボケーッとしたガメラの表情がナイスで、なかなか楽しい。後の「ガメラ対大悪獣ギロン」での“鉄棒”や、「ガメラ対大魔獣ジャイガー」での“シーソー”の原点といったところだろうか。子供が喜びそうなシーンをきちんと盛り込んでいるところがイイのである。
 そのようなやんちゃなシーンがあるかと思えば、目を覆いたくなるようなスプラッター描写の凄まじさも、ガメラ映画の特徴であろう。巨大怪獣となったバイラスの、槍のような頭部でドテッ腹を何度も突き刺され、頭と手足をはち切れんばかりに伸び縮みさせるガメラの動きは、なかなか壮絶である。まぁ、そんな残酷な場面があるからこそ、その後のガメラの逆転劇が、より痛快なんだけどね。
 それでも、ガメラとバイラスが1回しか闘わないのが、少々寂しいなぁ・・・。
 9月19日(木)、DVDにて。
 ファンは作品の完成度に期待し、作り手はファンの熱狂に応えようと必死になったが、その熱意が空回りし、リアリティを意識しすぎた窮屈な作品、といった評価が、本作を語る上で多く見受けられる。
 確かに、物語は深刻でこそあれ、それほどダイナミックな展開ではないし、特撮ではゴジラがそれほどビルを破壊せず、また、スーツとアップ用のゴジラの顔の違いが激しいため、違和感が残る。
 しかし、リアリティを意識したからこそ、他のゴジラ作品では見られない、重厚なシーンがあることも事実だ。
本編では、ソ連の原子力潜水艦がゴジラを攻撃し、沈められるシーンで、正体の分からない敵と対峙する、乗組員たちの緊張感がひしひしと伝わってくるし、自衛隊がゴジラを捜索するシーンは、小六豊次郎の勇壮なテーマ曲と相まって、かなりカッコ良い。
 また、首相を演じる小林桂樹をはじめ、小沢栄太郎や鈴木瑞穂、金子信雄や内藤武敏という、重量級の顔ぶれが、ゴジラ対策に全力を尽くす姿にグッとくる。よくこれほどの役者を揃えたなぁと、改めてゴジラのネームバリューの凄さを思い知った。
 特撮では、東京湾に出現したゴジラと、ゴジラの進行を喰い止めようとする自衛隊との攻防が、かなりの迫力。ミサイルによって吹き上がる水柱と、その中を悠然と進むゴジラの姿は様になっているし、ゴジラの熱線によって部隊が一気に壊滅し、一瞬静寂が流れるシーンは、ゾッとする恐ろしさだ。
 そして、首都防衛戦闘機のスーパーXとゴジラの攻防戦は、それまで抑え気味だった都市破壊が一気に炸裂し、派手な爆発が繰り広げられる。まさに特技監督の中野昭慶の面目躍如であり、新宿の高層ビルをゴジラがなぎ倒すシーンは、痛快この上ない。
 前評判が高かっただけに、公開後は随分と冷遇されている感のある本作だが、前述のように素晴らしいシーンも多々あり、失敗作では決してない。従来のシリーズから脱却して、新しい挑戦をしようという、作り手たちの意気込みが、本作に消えない熱気を与えている。
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