5月26日(土)、録画にて。
 本作の配給会社である東宝のマークが目玉焼きに変わる二重写しのオープニングは、『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(81)のようで笑ってしまったが、女が男を犯罪に引き込むという物語の骨格は、まるでアメリカ映画のフィルム・ノワールのようである。ただし、圧倒的に可愛い小泉今日子とやたらとオドオドした真田広之がコンビとなると、盗みをしようとしても失敗ばかりで、却って「元手」が掛かって「赤字」になってしまうというドジっぷりが、やはり犯罪映画のパロディなのである。
 もしかしたら、監督の和田誠は、自身が手がけたアニメーションの『殺人 MURDER!』(64)のようなサスペンスのパロディを、実写として撮りたかったのかもしれない。電気椅子で処刑されたり機関銃で射殺されたりと、真田が悪夢にうなされるところも、なんだか『虹を掴む男』(47)のようにコミカルだしね。
 二人の住むアパートから見える空や街が書割で表現されており、「大人になりきれていない若者たちのおとぎ話」感が漂っている。イラストレーターである和田のタッチをそのまま実写にしたかのようだし、ノスタルジックな雰囲気が作品にピッタリである。
 天本英世や名古屋章といったベテランが楽しそうに演じているところがグッド。登場人物たちの笑顔が映し出されるエンドロールも和やかでイイ。なによりもキョンキョンのアップがキュートでたまらないのだよ!
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 アヘンを吸ったビルが見る幻覚はモノクロの安っぽいビデオ映像みたいだし、賞金稼ぎたちに捕まったビルがいかに窮地を脱するかと思えば、勿体ぶった展開の挙句に、“伝説”の衣に覆われたビルの姿にビビったガンマンたちが酒場から逃げ出す始末で、ウォルター・ヒルの監督作にしては、なんだか冗長。クライマックスの銃撃戦も妙にあっさりしており、銃弾を受けた無法者たちがド派手に吹っ飛ぶようなヒルらしい過剰なアクションがないのも残念。
 『ザ・ドライバー』(78)や『ストリート・オブ・ファイヤー』(84)で、都会に生きる人々をまるで西部劇の住人たちのように描いて傑作をモノにしたヒルだが、ズバリ西部劇となると、『ロング・ライダーズ』(85)のように、逆に伝説を“解体”したくなるのかもしれない。
 しかし、やはりヒルは「男の寓話」を描くことに長けた監督であり、本作で描こうとするテーマには、ヒルの手腕はどうもミスマッチな気がしてならない。
 それでも、薄汚い街路を照らし出す青や赤の光を蠱惑的に切り取ったスタイリッシュな映像は、まさにヒルのタッチであり、そんなカットを目にするだけで、なんだかニヤリとさせられてしまった。
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