上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 3月25日(月)、シネマサンシャイン土浦にて。
 仕事に、恋に、奮闘する、鉄道好きの小町と小玉の物語。
「僕等にしか分からない世界があるさ」という言葉を肯定しながらも、小町を「少し」好きな秘書のみどりの存在を置くことで、「僕等が知らない世界」もあることもきちんと描いているところが、この映画がオタク讃歌に陥らない、静かな爽やかさを作品に漂わせている。この事実に目を向けようと向けまいと、「自分の世界」も「周りの世界」も“日常”として淡々と流れてゆくことを、サラッと掬い取っているのである。
 テンポの緩慢さが気になったが、この緩慢さこそ人間の“日常”そのものではなかろうか。それでも、偶然に取引先の社長が列車好きで意気投合することもあるし、小町が説得を試みている地主が小玉のホレた女の子の父親ってこともあるし、女性と二人きりの最高のシチュエーションを友人が作ってくれることだってあるし・・・と、何気ない日常の中にもドラマは存在するんだよと、監督の森田義光は囁いているようなのだ。
 そんな作品を演出してくれるのが音だ。列車が走る音はもちろんのこと、丼を食べる音、都会の喧騒、波の音とカモメの声、風のそよぐ音と虫の声・・・と、つい耳をスクリーンに寄せたくなるような、心地よい音が溢れている。
 またこれらの音が、登場人物たちの心情も運んでくれる。小町の前で様々なメガネをとっかえひっかえつけてみせるOLの相馬のバックには、カクテルをシェイクする音がシャカシャカッと、装着した時にはカチッとキマるその遊び心が楽しい。後に小町が博多に転勤になると知った相馬が顔に寂しさを滲ませた瞬間、周囲の音がサッと聞こえなくなるところなど、音に対する丁寧な演出があるからこその効果が出ている。
 そして、小町と小玉が着る薄い青とピンクの服の色、相馬の着る花柄のワンピースなど、フラットぎみの映像の中に、ポンとさりげなく色彩があるからこそ、画面が際立つ。これもフレームの中で繰り広げられる「ドラマ」といっていいだろう。
 たくさんの登場人物を充分に捌ききれていないのがもったいないが、観終わった後に心地良さが残る佳作となった。
 
スポンサーサイト
プロフィール

HORIDASHIDOGU

Author:HORIDASHIDOGU
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。