4月27日(金)、シネマサンシャイン土浦にて。
 DVDショップに『ロープ』(48)が陳列されていたカットがあった。一見すると、ヒロインのローレンと主人公のFDRがヒッチコックについて会話する背景の一部でしかない。しかし実は、身を隠しながら盗聴器を家中につけるFDRともう一人の主人公であるタック、そして何も知らずに音楽を聴きながら室内を闊歩するローレンをワンカットで撮影したシーンの前振りとなっている。
 また、ローレンが観ているテレビに『明日に向って撃て!』(69)が映っているカットがある。一人の女を巡って親友同士が骨肉の争いを繰り広げる物語に、一人の女が男同士の絆を前に自らの無力を悟る映画の一シーンを挿入するとは、サラッと皮肉が効いている。これも高所からFDRとタックが取っ組み合って落下するシーンの伏線となっている。
 もっとも、中年に足を踏み入れた男女のアクション・ファンタジーという骨格自体、『シャレード』(63)や『ナイト&デイ』(10)である。もしもヒッチコックとホークスが今生きていたとしたら、肩の力が抜けた、本作のような映画を撮っていたかもしれない。
 目新しさはないが、これまでの映画から様々な要素を抜き出したコラージュであることを承知の上で、他愛のない内容をハチャメチャな演出で彩った作り手たちの心意気は悪くない。時折見え隠れする“家族”という辛気臭くなりがちなテーマを、軽いタッチでテンポ良く描いたところも好感が持てる。
 小振りながらもしっかりとまとまった作品で楽しめるが、詰め込み過ぎたラストだけが少々散漫になってしまったのが残念だ。この辺りは往年の職人監督たちの潔さを見習ってほしかった。
 そういえば、ローレンの親友はなかなかの早口であったが、この際どいマシンガントークも、ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』(40)を想起させた。まぁ彼ならもっと台詞を洗練させていただろうが、この下世話さも本作の魅力なのかもしれない。
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