上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 『ダラス・バイヤーズクラブ』の短評
 3月15日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町にて。
 アメリカ国内で未認可の薬を手に入れるため、主人公が世界中を飛び回るシーンを観て、ハンフリー・ボガートが出演した『東京ジョー』(49)を思い出したが、強烈な存在感で作品を引っ張るボガートとは異なり、本作のマシュー・マコノヒーは、牧師や博士に変装し、最近のキャリアにおけるカメレオンぶりを劇中でも遺憾なく発揮している。
 まぁ、実話を基にした物語だから、モデルとなった人物に対してマコノヒーは誠実な演技をしているのだろうが、エイズを発症したことによる死への恐怖から、拳銃を手にして車の中で一人泣いたり、商売仲間のゲイを目の前で差別した昔の仲間を、腕でその首を締め上げながら握手させたりと、女たらしのゲイ嫌いだった主人公が「生きたい」という願望によって徐々に変わっていくのを、繊細さとタフさを併せながら演技しており、只々すごい。
 それでいながら、主人公が教会で懺悔しているようで、実はストリップ・バーで酒を飲んでいたり、医師や患者たちにケツを曝け出したまま、担ぎ込まれた病院から出ていったりと、けっこう笑えるシーンもあり、深刻でお涙頂戴な物語にしないところもいい。
 終盤の展開が少し性急な感もあるが、主人公の生き様をスクリーンに刻印したラストは、ボガートの時代とは違うとはいえ、まさに伝統的な「アメリカン・ヒーロー」そのものだった。


 『鑑定士と顔のない依頼人』の短評
 3月16日(日)、シネプレックスつくばにて。
 『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)では“映写機”、『海の上のピアニスト』(98)では“ピアノ”、『マレーナ』(00)では“自転車”・・・と、監督のジュゼッペ・トルナトーレは、映画との親和性の高い“装置”を作品に取り込んできたが、本作では“からくり人形”を用いて、瞬く間に観る者を映像に引き込んでゆく。
 「魅惑的な女に翻弄され、破滅してゆく男」の物語である本作は、まさにフィルム・ノワールそのものではあるが、むしろトルナトーレ作品で度々描かれる「愛に囚われた男」の物語と捉えるほうが相応しいかもしれない。
 ラスト・カットは、痛いくらい切なかった。


 『ローン・サバイバー』の短評
 3月23日(日)、シネマサンシャイン土浦にて。
 『キングダム/見えざる敵』(07)や『バトルシップ』(12)でも、監督のピーター・バーグは“音”を効果的に使用しているが、本作でも、激しい銃声や、死にゆく兵士の呼吸音が耳に残って離れない。
 また、ネイビー・シールズたちとアフガニスタンの人々の関係も、互いの言葉が理解できないために不信感を抱く結果となり、シールズたちが孤立無援となるのも、指揮官と無線が通じない状況に陥ったためであり、物語でも“音”が重要なファクターとなっている。
 そんな“音”によって縛られた主人公が救われるのは、もう一つのファクターである“守るべきもの”。それが“絆”に変わるシーンは、なかなかいい。
 けっこうパンチのある一品。


 『LIFE!』の短評
 3月28日(金)、シネマサンシャイン土浦にて。
 誰一人通らないアイスランドの田舎道を、自転車で、自分の足で、スケートボードで力走する主人公を捉えたロングショットは、まるでサイレント時代のコメディのようであり、雄大な自然を背景としながらも、どこか可笑しい。
また、主人公が空想するシーンは、ハチャメチャでちょっとブラックな笑いが散りばめられていて、いかにもベン・ス ティラーらしいタッチで楽しめる。
 ただし、そんな空想シーンが物語のトーンと少々ズレてしまっており、コメディアンとしてのスティラーの才能が、演出家としてのスティラーの能力を喰ってしまっているのが残念ではある。
 それでも、ラストで主人公にもたらされる“贈りもの”は、「理想と現実の隔たりに葛藤する人々」を度々描いてきたスティラーの、今を懸命に生きる人々への“贈りもの”でもあるのだろう。
 「あぁ、良かったなぁ」と笑顔になれる作品だ。
スポンサーサイト
プロフィール

HORIDASHIDOGU

Author:HORIDASHIDOGU
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。