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 12月23日(金)に、池袋の新文芸坐の『「実相寺昭雄 才気の伽藍」刊行記念 実相寺昭雄 特撮オールナイト』に行ってきたので、不完全ながらも勝手にレポートする。

 まずは、本の著者である樋口尚文さんに、実相寺監督作品の常連である堀内正美さんと大家由祐子さん、そして多くの実相寺監督作品でカメラを担当した中堀正夫さんのトークショーから始まる。
 樋口さんは、監督が高校生の時に書いた官能小説が、童貞を失った前に執筆されていたことに驚き(監督は童貞喪失日も日記に書いている)、堀口さんは、監督が公衆電話のボックスに貼られているピンクチラシを集めており、剥がされる前にスタッフが取りに行って監督に渡すと、「これはもう持っている」とか「これはデザインが面白い」とか言いながら選別していたと話し、大家さんは、監督の奥さんと大家さんの母親が高校生の時の同級生であるため、ヌードの撮影がある時はセットから監督は出て行ってしまい、映画が完成して大家さんのお母さんが観たことを知って「お母さん、怒ってなかったか?」と心配そうに聞いてきたというエピソードを語り、中堀さんは『怪奇大作戦』(68~69)の第5話「死神の子守唄」で、クライマックスを逆光でも登場人物たちが観る者に分かるように撮ったつもりが、試写室で実相寺が「バカヤロー!明るいんだよ!」と叫んだり、『シルバー仮面』(71)の第1話の撮影で、消防車のサイレンに照明を当てないで撮影しろと監督に言われて戸惑ったという逸話を聞かせてくれた。「実相寺を一言で表すと?」という樋口さんの質問には、堀内さんは「紙芝居屋さんとかハーメルンの笛吹き男」(監督の魔力に憑りつかれて作品に参加したというニュアンス)、大家さんは「変態」と語っていた。

 それから作品上映。まずは『シルバー仮面』(71)の第1話「ふるさとは地球」。混沌と緊張が漲り過ぎているオープニングがスゴイ。暗い画面に何を言っているのかわからなくなるほどの台詞と騒々しい声が異様な雰囲気を醸し出し、タイトルが出るまでにかなりの時間がかかることも、本作に“とんでもない感”を与えている。
 次は第2話「地球人は宇宙の敵」だが、映写機のトラブルがあって半分くらいで一旦終了し、プログラムの順番を変更して、『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』(90)を上映。小学2年生の時に初めて観たが、26年ぶりにスクリーンで観た時の、歪んだような映像の衝撃は変わっておらず、すご~く簡単な話をすご~く難しいかのように演出している。カメラを斜めに傾けてスーッと移動させた映像も印象的。世評では「退屈」という声や文を耳にもするし目にもするが、個人的には「倭」と「宇宙」が現代を舞台に混交したようなテイストがすごく好きな作品である。堀内正美と高樹澪のミステリアスな雰囲気がナイス。
 その次が『帝都物語』(88)。明治から昭和初期にかけての東京の街並を再現したミニチュアとセットがいい感じだが、なんと言っても加藤保憲を演じた嶋田久作の顔面インパクトに勝るものはないだろう(ちょっと戦メリの坂本龍一に見える瞬間もある)。物語はズンズンと進んでいくが、大滝秀治や峰岸徹は登場したと思ったらいつの間にかいなくなるし、佐野史郎は死んだと思ったら生きているしと、展開が少々雑な感じもする。渋沢栄一を演じても、勝新太郎はやっぱり勝新太郎デスネ。帝都そのものが主役というのは、『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』(93)とか『ダークナイト』(08)にも通じるかなぁと思うのは、ちょっと考え過ぎか。
 4番目は映写機の修理ができたらしく、「地球人は宇宙の敵」。口からガスを吐きながらヒヒヒーッと笑って跳ね飛ぶキルギス星人が気味悪い。田舎の若者がコメディリリーフとして笑いを取ろうとするが(現に観客で笑っている人もいたが)、実相寺の笑いの感覚なのか時代の変化なのか、個人的にはどうも笑いが上滑りしている気がする。それは他の実相寺作品でも散見されることで、『ウルトラマン』(66~67)の「空の贈り物」のような、突き抜けた“やり過ぎ感”があるほうが実相寺の笑いのセンスは冴えるのではないだろうか。
 5番目は『ウルトラマンティガ』(97)の第37話「花」。ティガがマノン星人と闘っている最中に、舞台が歌舞伎になってしまう演出が最高で、青い照明もスタイリッシュ。桜散るセットでの取っ組合いはなかなか雅で、とても好きな作品だ。
 6番目は同じくティガの第40話「夢」。冴えない青年の夢が実体化した怪獣を倒すのに、主人公も戦闘中に寝てウルトラマンになるという展開が実相寺らしい。オネェっぽいドクトルチヒロを演じた嶋田久作が笑える。やっぱりこの人は顔自体が“演出”になっている。
 7番目は『ウルトラセブン』(67~68)の第8話「狙われた街」。卓袱台にメトロン星人・・・、それだけで傑作でしょう。夕陽をバックにした工業団地付近でのセブンとメトロンの対決も素晴らしい。ラストのナレーションが痛烈。
 最後は『ウルトラマンマックス』(05)の第24話「狙われない街」。「狙われた街」の続編であるが、実は生きていたメトロン星人が何もしないでも人類は退化して滅ぶから地球から去るという物語は、文明批判としてなかなかイタイところを突いている。宇宙人同士の対決がない代わりに、去りゆくメトロンについ手をふってしまうウルトラマンが滑稽。

 ・・・てなわけで、全ての作品の上映が終わったのは24日の午前7時。『帝都物語』以外は一度は観ていたが、1人でテレビで観るのと大人数でスクリーンで観るのとでは、作品の印象も異なるものだなぁと感じた。映写でトラブルがあったとき、堀内さんが場を和ませてくれたが、「拡散してください!」と撮影禁止のはずだったトークショーで写真タイムを設けたり(自分はケータイの電源切っちゃってて間に合わなかった・・・、残念)気さくに観客と写真を撮ったりとファンサービスのある人だなぁと思った。とにかく、実相寺昭雄ほど、人物を含めて「鬼才」という言葉が似合う監督もいないのではないだろうか。
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