「ボーン・レガシー」を観た。

Category : 劇場公開作品

 9月28日(金)、シネプレックスつくばにて。
 傑作シリーズの脚本を担当した人物がメガホンを取っても、傑作が生まれるとは限らない・・・。本作はそんな事実を証明しているように思う。
 アクションは期待を裏切らない。二軒の建物の狭い隙間を、主人公が高所から飛び降りて警察官たちを瞬時に叩き伏せるシーンや、階段の手すりをバイクで滑り降りるシーンは手に汗握る迫力だが、これらは監督のトニー・ギルロイの手腕というより、前シリーズでもアクションを担当したダン・ブラッドリーの力量が大きい。短いカットを多用して主人公の俊敏な動きを捉える手法は、前シリーズからの踏襲だからだ。
 むしろギルロイらしい演出は、主人公が家の外壁を素早くよじ登って殺し屋を射殺するシーンだ。ワンショットによる緊張感が凄いが、『フィクサー』でも同様の手法をギルロイは試みており、人物の行動にじっくりと迫ってゆくことでサスペンスを生み出すところに、彼の持ち味が発揮されているのだろう。
 ところが、肝心の物語が遅々として進まない。ギルロイは時間軸を操って映画を動かそうとしているが、登場人物たちの思惑をカットバックで描く前半や、フラッシュバックを用いて彼らの感情を掘り下げる中盤にかなりの時間が割かれており、展開が説明的でもたつくのだ。
 『デュプリシティ~スパイはスパイに嘘をつく~』でも感じたことだが、人間を描きたいという、脚本家としてのギルロイの「願望」が、物語を語らなければならないという、演出家としてのギルロイの「仕事」を時折呑み込んでしまうことがある。登場人物たちに深みをもたらそうとするギルロイのスタンスが、どうも映画から躍動感を奪っている気がしてならないのだ。
 とは言うものの、そんな彼の資質があるからこそ、前シリーズにはなかった映像が生まれたことも事実。「願望」と「仕事」に対する思い切った割り切りこそ、ギルロイの目の前にある“険しい道”なのかもしれない。
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