「ザ・ドライバー」を観た(過去に書いた駄文から・・・)

Category : DVD

 工場での壮絶なカー・チェイスの後、横転した車から這い出た強盗が辺りを見回し、誰もいないと思った瞬間、頭上からドライバーが銃で狙っているシーンがあるが、いかにもカッコ良さを優先した映画らしく、スタイリッシュな映像になっている。
 また、駅のロッカーに入ったカバンを手にしたドライバーが振り向くと、彼を追う刑事が警察官たちをズラッと率いて待ち構えているシーンも、まさに劇画的。説明を排した映像にゾクゾクさせられる。
 『ダーティハリー』(71)のドン・シーゲルのように、無駄な展開を削ぎ落として作品をタイトにするためではなく、監督のウォルター・ヒルは、ひたすらカッコ良さを追求するために、人物の行動を大胆に省略し、行動の結果のみを描く。
 この演出が成功しているのは、登場人物たちの背景を省略し、ひたすら彼らの駆け引きを描いた物語であるからだろう。主人公のドライバーにしても刑事にしても、彼らに名前がないことが、都会の寓話としての本作の魅力を引き立てている要因の一つだ。ネオンが妖しく瞬く夜の街も、激しいアクションと緊迫したサスペンスの舞台に相応しい。後のマイケル・マンの傑作『コラテラル』(04)に先立つ、美しくも冷たいムードがたまらない。
 そして、やはりアクションのカッコ良さ。油断した敵に向かって窓ガラス越しに弾丸を放つドライバーの素早い動きはもちろんのこと、刑事に気付かれないように息を殺して身を潜める冷静さも映画に緊迫感を与えていた。倉庫内での敵との攻防も、両者が車に乗ったまま、積み荷に隠れながら相手を探すというアイディアが面白く、まるで車が生きているかのようで見ごたえのあるシーンになっている。その後、ドライバーが相手に突撃しながらの一騎打ちなど、まさに現代の西部劇だ。
 ただし、あまりにもスタイリッシュ過ぎて、全体的に線の細い感じは否めない。なによりも雰囲気が魅力的な快作ではあるが、世界観にこだわりすぎたきらいがあるのが、少し残念である。
スポンサーサイト

コメント:

非公開コメント

プロフィール

HORIDASHIDOGU

Author:HORIDASHIDOGU
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR