「007 スカイフォール」を観た。

Category : 劇場公開作品

 12月2日(日)、109シネマズ川崎にて。
 戦争映画へのオマージュが散りばめられた『ジャーヘッド』(05)を観たとき、監督のサム・メンデスは、かなりのシネフィルなんじゃないかと思ったものだが、本作ではメンデスの映画オタクっぷりが、これでもかというくらい炸裂している。
 ガラスで囲まれたビルでの格闘は、『上海から来た女』(48)を想起させ、ボンドが駅の構内で、同じ格好をした大勢の警官の中から敵を見つけ出そうとするシーンは、『北北西に進路を取れ』(59)にそっくりだ。古びた屋敷でボンドが敵を待ち構える展開は、まるで西部劇のようだし、派手な音楽をがなり立てながら登場する敵のヘリコプターは、どう見たって『地獄の黙示録』(79)そのままだ。
 特に、ボンドと表裏の関係であるシルヴァが、わざと捕まってロンドンを混乱させる展開は、『ダークナイト』(08)と酷似しており、メンデスもその影響を認めているようだが、『ダークナイト』のようなヒリヒリとした緊張感よりも、本作のそれはドキドキ感を優先させており、審問会での銃撃戦で一気にスパークする。このシーンでの登場人物たちの情動は凄まじく、最も手に汗握る見せ場となっている。
 良く言えば「安心して観ていられる」作品であり、悪く言えば「意外性のない無難な」映画ではあるが、実はこの安定感こそ、メンデスが起用された理由なのではなかろうか。
 007シリーズは、職人監督たちが築き上げた歴史でもあった。初のアカデミー受賞監督起用と聞くと意外な感じはするものの、『アメリカン・ビューティー』(99)や『ロード・トゥ・パーディション』(02)など、メンデスはジャンルに捉われずに確かな演出力で作品を手掛けてきた。これまでのシリーズの監督とは違うようでいながらも、映画をキチッと仕上げてみせる“職人気質”の持ち主であることにおいて、共通しているのである。
 エンターテインメントに徹した本作で、映画好きっぷりを映像に刻印することこそが、もしかしたら、メンデスにとっての“個性”だったのかもしれない。
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