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「メカゴジラの逆襲」を観た。

Category : DVD

 4月10日(水)、DVDにて。 
 特撮は、いきなり登場するゴジラのカッコ良さや、建物どころか地面ごとミサイルで吹き飛ばすメカゴジラ2号の破壊力など、中野昭慶らしいダイナミックなシーンに溢れている。チタノザウルスの登場シーンも、煽ったカメラによって巨大さが強調され、自然光を利用した撮影によって、奥行きのある映像になっている。細長い首の扱いには苦労したようだが、ゴジラに噛み付いてブルンブルンと振り回すシーンは、この時期のシリーズでしかできなかった大胆さがあり、観ていて気持ち良い。
 本編は、大人向けのハードな雰囲気に溢れているが、大門正明が逃走中に宙返りをしたり、宇宙人の隊長が崖から飛び降りたら急に円盤が現れたりと、時代が要求する娯楽性と、本多猪四郎の実直な演出が噛み合っていない部分が見受けられる。
 とは言うものの、逃げる市民たちの背後に、怪獣の姿を大きく合成したダイナミックな映像は、臨場感のある素晴らしいもので、怪獣映画におけるリアリティを、日常の延長として捉えていた本多のヴィジョンに合致しているのではないだろうか。
 また俳優陣も、メインキャストに若手を起用しながら、中丸忠雄や佐原健二といった東宝特撮ではお馴染みの役者で脇を固め、重厚な演技を見せてくれる。久しぶりに沢村いき雄も登場し、怪しげな使用人役で一言も喋らず、イイ味を醸し出している。
 そして、悲劇の天才科学者を演じる平田昭彦の存在感。自分を学会から追放した人間社会への復讐の念を語り、手をこすりながらいやらしく笑う姿には鬼気迫るものがある。素晴らしい演技だが、『ゴジラ』(54)や『地球防衛軍』(57)など、実直ゆえに自分を苦しめてしまう科学者の似合った平田のダークな部分を極大化した、ある意味皮肉なパロディのようでもあり、これが最後のゴジラ作品への出演となってしまったのが、寂しい。
 もう少し予算があれば、映像の細部に厚みが出たかと思うと残念ではあるが、本編も特撮も、あらん限りの力で作品に取り組んだことが手に取るように伝わってくる。しっかりと仕上げられた、上質な佳作だ。
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