「男性No.1」(54)を観た。

Category : 劇場公開作品

 10月17日(金)、ラピュタ阿佐ヶ谷にて。
 たくさんの観客で埋め尽くされたボクシングの試合会場をロングで捉えたカットや、怒り狂ったヤクザの“ビュイックの牧”が、制止する人々を振り払いながら、猛烈な勢いで銀座の路地を進んでゆくカットの、奥行きのある映像が、リアリティを醸し出すとともに、とても臨場感がある。
 また、ダフ屋の“ラッキョウの健”が、今まで人々を騙してきたことが仇となり、誰もいない狭い路地を、ヤクザから逃れようとクタクタになって走るシーンは、まるでフィルム・ノワールのような殺伐とした雰囲気が漂う。映像によって二人の主人公の性格がしっかりと描かれており、牧を演じる三船敏郎と健を演じる鶴田浩二の存在感も際立っている。そんな二人を、スクリーン狭しと大暴れさせるクライマックスは、なかなか痛快だ。
 コミカルな雰囲気が漂う前半とは一転して、後半はなかなかシリアスな展開だが、それでも物語を破綻させず、いくらでも浪花節な映画に仕立てられるのを、ギリギリのところで“お涙頂戴”にさせないのは、『エノケンの孫悟空』(40)で、オペレッタを大胆に取り入れたり、孫悟空に戦闘機を操縦させたりしながらも、一本の作品として成立させてしまう、山本嘉次郎監督の絶妙なバランス感覚と、製作会社である東宝らしい、スマートな作風のなせる業だろう。
 それだから余計に、ときおり編集の切れ味が鈍かったり、心情を描いたカットがくどかったりするのが、残念ではある。
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