『仁義』(70)を観た。

Category : 劇場公開作品

 10月24日(土)、アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュにて。
 列車の窓から外を眺める刑事を捉えたカメラが上昇してゆくカットや、逃走した容疑者を見つけ出すために、警官たちが横一列に並んで草原を重々しく歩いてゆくシーンからは、形容しがたい異様な緊張感が漂うし、アラン・ドロンやフランソワ・ペリエが演じる登場人物たちのキャラクターを引き立たせながらも、運命に絡め取られてゆく男たちの群像劇として作品を成立させているのは、本作の監督であるジャン=ピエール・メルヴィルの力であろう。彼らの思惑が交錯するナイトクラブのムードを描く手腕も抜群に上手い。
 そんな本作の白眉は、堕落した射撃の名手である元刑事を演じたイヴ・モンタンであろう。蜥蜴や鼠が体の上を這いまわる幻覚を見るようなアル中でありながらも、宝石店襲撃計画の仔細を聞くためにドロンとナイトクラブで落ち合うシーンでは、無精ひげを剃って颯爽とした姿で登場し、計画実行のシーンでは、三脚に固定して照準を合わせたライフルをいきなり外して、自らの手で銃弾を放って警報システムを解除し、宝石を盗んでいるドロンたちを見ながら、携帯したウィスキーのボトルを取り出し、香りを嗅いでその場を立ち去るという、いかにもスタイルを重視するメルヴィルらしい演出を、登場人物の中で最も体現しており、否が応でも目を引きつけられるのだ。
 男たちの一挙手一投足への執拗なまでの拘りが、物語の展開を冗長にしている感は否定できないが、メルヴィルの集大成といっても過言ではない作品である。
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