『キングコング対ゴジラ』(62)[4Kデジタルリマスター版](第29回東京国際映画祭 日本映画クラシックス)を観た。

Category : 劇場公開作品

 11月1日(火)、EXシアター六本木にて。
 製薬会社が提供しているTV番組の視聴率を引き上げるために、南の島で恐れられているキングコングを日本に連れてきてしまうという、主人公のカメラマンや宣伝部長の無茶苦茶な発想は、コメディとして演出されていなければ、かなりの狂気を孕んでいる。
 特に、野放しになってしまったコングが暴れまわって犠牲者まで出しても、「キングコングに死なれちゃ元も子もないからね」とあっけらかんと言葉にしたり、全ての努力が無に帰するラストで、「仕方がないよ・・・、あきらめよう」とうなだれたりする部長の姿には、笑いながらもゾクッとさせられた。
 そんなテイストの本編と呼応するかのように、力いっぱい両手で下腹を叩いて自分の優勢を喜び、突進してきたコングに飛び蹴りを食らわすゴジラや、赤い汁を美味そうに飲んで寝てしまい、ゴジラの熱線を浴びて頭を掻きながらすごすごと退散するコングの仕草は、まるで人間のようでユーモラスであるが、ゴジラから息も絶え絶えに逃げ惑い、コングの巨大な手の中で絶叫する浜美枝の演技を観ると、徐々に怪獣たちは子供たちのアイドルと化してゆくとはいえ、本作が公開された昭和37年頃は、まだ恐怖の存在でもあったのである。
 怪獣や登場人物たちのテンションが高いのに比べると、物語のテンポは意外と悠々としているが、本編を監督した本多猪四郎の硬軟織り交ぜた演出と、脚本を担当した関沢新一のキレのある台詞や、ダイナミックなセットで繰り広げられる円谷英二の特撮が、とにかく面白い。恐怖も喜劇も一本の作品に取り込んだことで、ゴジラ・シリーズの可能性をグッと拡げた傑作となった。

[4Kデジタルリマスター]について
 ビデオやDVDよりも格段に映像が美しくなり、氷山から出現するゴジラにうっすらとついている氷が見えたり、光の角度によって登場人物の顔が良く見えていなかったカットでもはっきりと表情が映っていたり、二大怪獣の闘いによって燃える木々の灰も目で確認できたりと、映像修復の技術の凄さには驚かされた。
 しかし、佐原健二演じる藤田が、新製品の繊維をベランダに引っかけてぶらさがり、どれだけ強度があるのかを高島忠夫演じる桜井に見せて慌てさせるカットでは、佐原の背後に横に糸が張ってあるのがはっきりわかる。映像がクリアになったことで、ホリゾントの歪みもチラッと見える。映像を4Kにしても、もともとフィルムに刻み込まれた“アラ”を加工しないという、担当者たちの気持なのだろうし、理解もできる。
 しかし、本作の作り手たちにとっては、作品のトリックが見えることは本意ではないはずだし、「作品を楽しむ」というより、メイキングのような「資料としての価値」に観る者の主眼が変わってしまう側面もあるように感じられ、ちょっと首を捻ってしまう(そこまで深刻に考えることでもないけれどね)。
 それでも、まるで新作同様に生まれ変わった本作を観ることは、とても嬉しく、得難い体験であった。
スポンサーサイト

コメント:

No title

こんばんは、お久しぶりです。

キンゴジ4K私はBSで見たのですが、画質の向上に感動しつつもHORIDASHIDOGUさんがご指摘なさっているように以前は気づくことのなかったアラが目立っているのは否めなくなってましたね( ̄。 ̄;)(ホリゾントの事は私もめっちゃ気になりました・・・)

それでもここまで綺麗な物を見せてもらうと、ほかの特撮作品も4K処理してほしいなとは思いました。

Re: No title

こんばんは、コメントありがとうございます。

コングを運ぶ巨大な筏の背後で、ホリゾントの木枠?が見えてるとか、コングに東京製綱巻きつける前に、もう体に糸が見えちゃってるとか、フィルムとデジタルではこうも違うのかなぁと。まぁ、そこは見えてないフリで(笑)、観る側が映像にノッていかないと駄目だよなぁと思います。

他の特撮作品も、ぜひ4Kで観たいですよね。個人的には『サンダ対ガイラ』と『日本沈没』がどんな映像になるのか、興味があります。
非公開コメント

プロフィール

HORIDASHIDOGU

Author:HORIDASHIDOGU
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR