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『乱 4Kデジタル修復版』を観た。

Category : 劇場公開作品

 4月12日(水)、恵比寿ガーデンシネマにて。
 2人の息子たちに率いられた軍勢に命を狙われて絶望し狂ってゆく一文字秀虎を演じた仲代達矢の、死んだように白い肌で痩せこけた頬に目をカッと見開いた表情や、死んだ家来の血が床へとまるで滝のように滴り落ちたり、一文字家を破滅へと向かわせた楓の方を次郎の側近が一太刀で殺した瞬間に血が凄まじい勢いで飛び散ったりと、描写がかなり劇画チックだなぁと感じたが、本作の監督である黒澤明は、以前に手がけた『椿三十郎』(62)で、やはり仲代にカッと目を見開かせて身体からドバーッと血飛沫を上げさせていたので、まぁむべなるかなといったところではある。
 しかし、信じていた家臣にまでも裏切られ、自害しようとしても刀を失ってしまい、鞘だけを引き摺って呆けた顔で荒野を彷徨い、挙句の果てに追放されても自分を見捨てなかった三男までも失ってしまうという秀虎に降りかかる悲劇は、どうしようもなくサディスティックだが、情け容赦なく生きてきた業が自らに跳ね返ってきただけではなく、自分自身もそれまでに数多くの“秀虎”を生み出していたことを暗示させ、背筋を寒くさせる物語である。『天国と地獄』(63)のラストでも感じたが、「非情」を描く時の黒澤の手腕は観客の五感に深く突き刺さり、全くもって恐ろしい。
 そんな人間たちの愚かな行いさえも包み込んで存在する、どこを見渡しても緑色に染まった山々や、不穏な空気を予見したかのように色や形を刻々と変化させてゆく雲のように、自然を捉えた描写がとにかく圧倒的である。
 三の丸が燃えてゆくシーンでの紅蓮の炎も、騎馬隊の疾走によって巻き上がる土煙も、ワンカットにどれだけ黒澤が心血を注いでいるのかがよく分かるのであるが、あまりにもコントロールが効きすぎて、迫力があるとはいえ、“偶然”を取り込んだ映像の驚きが弱い気がしないでもない。前作の『影武者』(80)での真っ赤に染まった空を背景に騎馬武者たちが登場するシーンのような、本編のカットを盗んで持って帰りたいほどの魔力は感じられなかった。
 それでも、途方もないスケールの作品を創造した黒澤の執念に心を打たれずにはいられないことだけは、間違いない。
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