「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」を観た。

Category : 劇場公開作品

 12月23日(金)、ワーナー・マイカル・シネマズ守谷にて。
 戦争を避けようと国のために尽力しながらもそれが不可能と悟った後は、真珠湾攻撃によってアメリカとの早期講和に持ち込むはずが、結果として国内に戦争高揚の空気を作り出し、自らの意思とは反対に戦いを続けなければならなかった、山本五十六の物語。
 部下からの信頼厚く、家族を大切に思い、将来の日本を担う若者の死を悼む、人間としての山本の一面と、新聞社に勤める一人の若者の目を通して、国内を戦争ムードに導き、戦後は一転してアメリカ式民主主義を世間に広めた、マスコミの影響力の恐ろしさと無責任さを描きたいのは理解できる。
 しかし、山本の下で作戦を指揮した男たち一人ひとりにも触れておきたい、名も無き兵士たちの声を伝えたい、庶民たちの声も取り上げなくては・・・と作り手の思いが強すぎるためにまとまりに欠け、2時間20分というただでさえ長い上映時間が、冗長に感じられる。
 戦争シーンも、海を突き進む軍艦の勇姿やスピード感溢れる空中戦など、見所は多いのだが、CGもここまで進化したかと思うほど重みがある映像に仕上がったかと思えば、終盤の、山本の乗る巨大な戦闘機が撃墜されるシーンのように、コンピューターが作り上げた映像の持つ軽さが露骨に出てしまった場面もある。
 むしろ、ミッドウェイ作戦を失敗した南雲忠一に、「茶漬けは熱いうちに喰うもんだ」と山本が言うや、南雲が嗚咽しながらようやく茶漬けを口にするシーンや、一度訪れた甘味処で、家のお手伝いをしている、髪を間に合わせのリボンで結んでいる少女に、山本が紙袋を手渡すと、中から綺麗な赤色のリボンが出てきて、少女が声を上げて喜ぶシーンなど、静かな空気の中で人間の気持ちがスーッと出る場面がとても良かった。
 また、本作では軍人たちの面構えが良く、白熱した意見のぶつかり合いが続く会議のシーンはなかなかの緊張感であり、吉田栄作や椎名桔平、そして阿部寛らが出ているだけで映像が引き締まるのは、個々の役者の力であろう。
 しかし、何と言っても本作の魅力は、山本を演じた役所広司だ。いつもより太い声で、哀感を滲ませながらも凛とした表情で、実在の人物を魅力的に演じている。燃え上がる機体の中で、目を見開いたまま最期のときを迎えるシーンでは、これほどアップに堪える表情もないなと思うくらい、力強かった。
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