FC2ブログ
 

『小さな独裁者』を観た。

Category : 劇場公開作品

 2月9日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町にて。
 偶然にも大尉の制服を見つけた主人公であるドイツ軍の脱走兵が、コートの袖に腕を通し、ジャガイモをお手玉代わりにしながら、「すばらしすぎて信じられない」と歌うシーンには、寒々しい風景をバックにした“冷たい高揚”が映像から漂っており、偽った身分のまま「総統」という言葉を口にしただけで、彼よりも地位の高い人々が命令に背けないことが、恐ろしいと同時に滑稽でもある。
 脱走兵の収容所で主人公が命令する大虐殺は、これまで虐げられてきた自分が“過去の自分”を消し去るかのようであり、極限状態で狂気を爆発させる仲間達も誰彼構わず銃を撃ちまくり、目を覆いたくなるほど凄惨だ。死にかけた兵士たちの呻き声が耳にこびりつく。
 主人公に従う男たちの感情がもう少し掘り下げられていてもよかったが、第二次世界大戦終結から70年以上経った現在でも、「ファシズムなんてどこにでもあるんだよ」と突きつけるラストが、なんとも痛烈である。
 狂った眼をしたドイツ兵たちが、トランペットを乱暴に吹きながら、主人公をジープで追いかけるオープニングや、林の中を逃げてゆく主人公をカメラが横に移動しながら捉えたカットが、ジャン=ピエール・メルヴィルの『仁義』(70)や『ギャング』(66)を想起させた。主人公が息を殺して追っ手から隠れるシーンの緊張感も凄まじかったな。
スポンサーサイト



コメント:

非公開コメント

トラックバック:


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「ちいさな独裁者」

丈の長い軍服 借り物の権力狂乱の戦時下、狂乱の人心。それはただ単に「生き延びる」為に存在した訳ではない。最初はそうであったのかもしれないが、じわじわと表皮が剥かれていく。それは、どの時代にも誰かの心の奥底に潜む悪の顕示欲なのである。ヘロルト(マックス・フーバッヒャー)は第二次世界大戦終盤にヨーロッパ大陸に赴任していたドイツ軍の一等兵であったが、いよいよ敗戦の色が濃くなった1945年4月、隊...
プロフィール

HORIDASHIDOGU

Author:HORIDASHIDOGU
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR