「殺人狂時代」を観た。

Category : DVD

 1月7日(土)、DVDにて。
 “大日本人口調節審議会”なる殺人集団に狙われる羽目に陥った、水虫持ちの貧乏な大学講師(仲代達矢)が、どういうわけか殺し屋たちを次々倒してゆきながら、事件の真相を突き止めようとする物語。
 なによりもアクションにキレがあり、笑いがある。ホテルで仲代が刺客を追いかけるシーンで、リゾート気分たっぷりの音楽が流れていたり、大声を上げながら銃を片手に敵の車へ突っ込んでいった仲代が、「いやぁっ!」と裏返った声で目を大きく見開きながら逃げ出したりと、切れ味の良いカットと、真剣ゆえにおかしみを誘う出演者の演技が、リズミカルな活劇シーンを生み出している。
 それが最も顕著なのは、怪力を持つ“ゴリラ男”に仲代がパンチの連打を見舞うシーンだろう。パンチの速度がやたらにスピーディーでテンポが良過ぎるため、もう笑っちゃうしかないのである。
 しかし、前半から中盤のアクションがやたらとテンポがいいため、物語後半が説明的で、展開のペースは決して遅くはないのであるが、急にスピードを失ったように感じられてしまう。
 それでも、苦い結末の中にロマンをサッと垣間見せ、最後の最後まで笑いを失わないところは、いかにも監督の岡本喜八らしい軽快なタッチで嬉しくなる。“怪作”で“快作”という、不思議な味わいの作品である。

 追記
 1.パンチの連打は、「暗黒街の対決」でも、岡本は三船敏郎にやらせているが、本作ではカット割りが少ない代わりに1カットの時間が長く、よりリラックスした映像構成になっている。
 2.仲代と記者を演じる団令子が、レストランで食事をしているとき、料理人が大きな肉をドサッと置いて包丁で捌くアップがあるが、この料理人は長谷川弘で、殺人集団のメンバーであり、後半に出てくるニセ自衛隊員も演じている。これみよがしな映し方をしていないのでわかりにくいが、『あまり出しちゃって「わかったよ」てなことになるとマズイ。スレスレな訳』と岡本自身が語っている(「kihachi フォービートのアルチザン」の第四章「岡本喜八、『結婚のすべて』から『大誘拐』までを語る」より)。
 また、この肉のアップが優れているのは、この後に仲代を狙う男を演じる江原達治の登場シーンでの、江原が料理にケチャップをかけるところのアップと連動して、「血」や「殺人」を連想させ、登場人物の心理を簡潔に描きながら、これから起こるアクションを予感させるからである。
 3. 2003、2004、2005年と本作を劇場で三回観たが、目の前の不発弾を凝視しながらの、仲代と相棒を演じた砂塚秀夫の会話のシーンでは、どの回でも必ず大きな笑いが起こっていた。
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