「ロボジー」を観た。

Category : 劇場公開作品

 1月14日(土)、シネマサンシャイン土浦にて。
 社長命令でつくった二足歩行ロボットである“ニュー潮風”が大破し、クビになることを恐れた窓際社員3人が、ロボットの中に73歳の偏屈老人を入れて、ロボット博覧会での発表をなんとかごまかそうとするが・・・という物語。
 「ひみつの花園」や「スウィングガールズ」で、人間や動物を人形の質感丸出しで撮影していたように、監督の矢口史靖は、肉体を物質として“マテリアル化”することによって滑稽な笑いを引き出しており、壊れたロボットの中に老人が入って人気者になってしまうという本作の内容は、いかにも彼らしいアイディアである。
 「会津磐梯山」に合わせて見事な踊りを披露するロボットに対抗して、突然「おてもやん」を踊りだしたり、満員のエレベーターでおならをして、背中の送風機で周囲にまき散らしたりと、“行動は生身の人間なのだけれども、あくまでロボット”というギリギリのラインを維持し、主人公の偏屈ジジイを暴走させる。
 極めつけは、自動車工場にある強力磁石を装備した機械に、ロボット=ジイサンがくっついて、ブルンブルンと振り回されるシーンであろう。明らかに人間を入れずに撮影したロボットの、ダランとした手足が情けなく宙に舞う動きが笑いを誘うのだ。まさに、身体の“マテリアル化”である。
 しかし、肝心の物語がまとまりに欠ける。ダメ社員3人組やロボ好き女子のエピソードにかなりの時間が割かれ、老人の図太い活躍が途切れがちになり、途中から主人公が誰だか分からなくなってしまうのだ。
 そのため、「ウォーターボーイズ」のように、のっぴきならない事態に陥った主人公たちが、気持ちだけでがむしゃらに突っ走りながらも、いい加減な状況をも味方につけて目標を達成してしまうという痛快さはなく、かといって、頼りない若者たちを助ける老人の静かな気骨が描かれていても、主役がぼんやりとしてしまったため、終盤のクライマックス後の、飄々とした老人の後ろ姿のカッコ良さが、イマイチ弱いのである。
 アイディアは面白いし笑えるシーンも多い佳作なのだが、主人公がハッキリしていればより面白い作品になったかと思うと口惜しい。
 とはいうものの、登場人物たちは実に生き生きと描かれている。演じている俳優の人柄が出ているのかなぁと思って映画を観ていたが、鑑賞後にパンフレットを読んでみると、矢口は、オーディションでは「その人本人の人柄やキャラクターを見ます」(パンフレットの12ページ「interview with shinobu yaguchi」より)と書かれていた。
 身体を物質化しても、内面には血肉が通っている。矢口映画の人々は、だから魅力的なのだ。ラストの、偏屈ジジイを演じる五十嵐信次郎の笑いが、それを証明している。
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