「ゴーストライター」を観る。

Category : 劇場公開作品

 1月22日(日)、シネマサンシャイン土浦にて。
 英国元首相の自伝を書くことになったゴーストライターが、前任者の死の謎を探るうちに、恐ろしい真相にたどり着くという物語。
 『フランティック』がそうであったように、監督のロマン・ポランスキーは、一人の男が大きな陰謀に巻き込まれてゆくという、ヒッチコック作品の影響を受けているのは一目瞭然だが、巨大な権力を前に主人公の行動が水泡に帰すという、『チャイナタウン』でも見られたポランスキーらしい展開は、『白鯨』や『王になろうとした男』のジョン・ヒューストンの作風に近いのではないだろうか。ヒューストンは役者として、『チャイナタウン』でロサンゼルスの水利権を牛耳る大物を演じているため、ポランスキーもそのことに自覚的だったのかもしれない。
 そのような、結果としては徒労でしかない主人公の行動を、ポランスキーは決して慌てず、かといって退屈な歩みにもさせず、悠々としたペースで物語を進行させてゆく。ユーモアを随所にちりばめ、サスペンスでは映像のテンションを一気に上げてみせる。作品に不穏な空気を漂わせる、灰色の雲や黒光りした荒海も、どこか抗いがたい魔力を湛えている。
 事件の真相が暴かれる場面は、少しズッコケてしまう感じもなくはないが、真相にたどり着くカギが、主人公のすぐ近くにあったことを考えると、皮肉が効いているとともにゾッとする居心地の悪さも漂わせ、なるほどポランスキーらしいなぁと思う。物語や映像のそこかしこからコクの滲み出る、サスペンスの傑作の誕生である。
スポンサーサイト

コメント:

非公開コメント

プロフィール

HORIDASHIDOGU

Author:HORIDASHIDOGU
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR