「顔のないスパイ」を観る。

Category : 劇場公開作品

 2月28日(火)、シネプレックスつくばにて。
 ロシアと関係の深い政治家の殺人事件が発生し、ソビエト時代の伝説のスパイ“カシウス”の手口と酷似しているため、CIA長官によって呼び出された元諜報部員のポールは、若手FBI捜査官のベンと事件と組んで、事件の真相に迫ってゆくが・・・という物語。
 見知らぬ男に足をかけて転倒させ、往来の人々の注意が男に集まっている隙に、腕時計に隠されたワイヤーで、ポールが標的の首を一気に締め上げて殺すシーンや、後半のクライマックスで、互いに車体を激しくぶつけ合い、ついには一方の車が宙を回転しながら吹き飛ぶほどの激しさに満ちた、ポールと実行犯とのカーチェイスは、短いカット割りや躍動するカメラによって、手に汗握る迫力がスクリーンからほとばしっている。
 しかし、全てのアクションが上出来というわけではなく、事件現場をうろつく怪しげな男を、ベンとポールが追いかけるシーンは、ロングショットが多いため、ポールを演じるリチャード・ギアの走りが鈍重に見えてしまい、映像に力がない。元諜報部員である彼の存在が物語を牽引してゆくのだから、随分とお腹が出てきたとはいえ、もっとギアの魅力を引き出す工夫が欲しかった。
 また、忙しく行き交う人々に翻弄されながらも、ベンがポールと会うシーンや、図書館で梯子から落ちそうになるベンの妻を、間一髪でポールが助けるシーンは、協力者でありながらも油断のならないポールの危うさを描こうとしているのだが、煽り過ぎの演出が却って場面をもたつかせているのが惜しい。
 とはいえ、謎を知る殺し屋が、意外な方法で刑務所から脱走を図ったり、銀行の捜査ばかりで飽き飽きしているFBIの同僚が、意外な形でベンの捜査にヒントを与えたりと、物語はなかなか楽しませてくれる。子供のいないポールが、なぜ少年野球のナイターを観戦しているのかも後に判明し、哀しみに包まれた彼の過去が作品に深みを与えている。向かい合って互いの信念をぶつける、老練なポールと若いベンの“静かな対決”が力強いシーンになっているのは、ギアとトファー・グレイスの演技の賜物だろう。
 演出にムラは散見されるものの、往年のハリウッドのプログラム・ピクチャーのような安定感のある作りに好感が持てた。脚本も担当したマイケル・ブラントは、本作が監督デビューとのこと。今後も期待したい。
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