「ヒューゴの不思議な発明」を観る。

Category : 劇場公開作品

 3月11日(日)、TOHOシネマズ水戸内原にて。
 巨大な歯車が動き続ける複雑な時計台の裏側を身軽に駆け抜けるヒューゴを追い、縦横無尽に動き回る映像を観て、グッときた。『グッドフェローズ』(90)や『カジノ』(95)を想起させるマーティン・スコセッシらしい映像だが、カメラが動くことにあまり意味のないこの二作に比べて、本作では、駅の内部を知り尽くした少年の素早さが強調され、テクニックに目的がある。
 また本作は、大御所監督であるスコセッシが、初めて3Dを使ったことで話題だが、奇術師ジョルジュ・メリエスの偉業を通して、創成期の映画が人々にもたらした夢を、“現代の奇術”を使って再現したかったのであろう、これまでの「ゾクゾクする」スコセッシ作品になかった、「ワクワクする」シーンでいっぱいだ。ヒューゴの修理したゼンマイ仕掛けのおもちゃのネズミが、ちょこまかとメリエスの目の前を動き回ったり、宙に舞うイラストがパラパラ漫画のように、描かれたドラゴンに火を吹かせたり、若き日のメリエスが楽しそうに、フィルムを切り貼りして“映像に魔法をかける”編集に勤しんだりと、映像を作る楽しさ、観る楽しさに溢れているのである。
 そしてスコセッシのもうひとつのチャレンジは、『レイジング・ブル』(80)や『シャッター アイランド』(10)といった、これまでの「抑制できない激情によって、自分自身を破滅に導く主人公」ではなく、「自分の役目を全うすることで、周囲の人々の心に希望をもたらす主人公」を描いていることである。死んだ父親と自分を結びつける機械人形を修理した先にメリエスとの繋がりを感じ取った時、過去を封印して生気もなく息をし続ける老人を“修理する”ことが自分の役目と信じて奔走するヒューゴの姿は、とても瑞々しく、そして力強い。
 職人的手腕の中に登場人物たちの感情が上手く収まり過ぎているきらいはあるが、映画好きっぷりを伸び伸びと表現しているスコセッシの楽しげな顔が目に浮かぶ、気分の良い作品となった。
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