「ナチュラル」を観た。

Category : 劇場公開作品

 4月19日(金)、ワーナー・マイカル・シネマズ守谷にて。
 天才的な野球の才能を持ちながらも、ある事件がきっかけで人生をさ迷い、35歳にしてメジャーリーグで奇跡の活躍を遂げる物語。
 「光」と「闇」の映画だ。超人的なプレーを成し遂げる際に主人公を包み込む夕日や稲妻の光、球団を思うがままに運営しようとする判事の部屋を覆う暗闇(判事が光を嫌うのも印象的だ)というように、まばゆさと暗さが同居している。
 また、同時に「白」と「黒」の映画でもある。主人公を精神的に支える幼なじみの女性の服は白をベースとしており、主人公の人生に深い傷を刻んだ女性の服は絶えず黒である。
 かといって、これらの要素がはっきりと刻印されていながらも、どこか曖昧な雰囲気が漂う。光と闇は淡い映像の中にその陰影を溶け込ませ、つかず離れず主人公を翻弄する監督の姪の服装は、白と黒を行き来している。
 この作品全体における曖昧さは、恵まれた才能を持った主人公が決して完全無欠のヒーローではないことにも起因しているのだろう。物語は事件からメジャーリーグ入りまでの16年間、主人公がどのように生きてきたのかを詳細には語らない。「前にも会った」姪との関係も決してはっきりはさせない。
 しかしそのことは作品の出来を落としはせず、むしろおとぎ話のような、寓話的な雰囲気を醸し出すことに成功している。過去の失敗に心を囚われながらも、「野球が好きだ」という気持ちに素直になることで自分自身を取り戻してゆく姿はとても感動的だ。
 終盤のクライマックス、まるで若いころの自分自身のような新人左腕投手との一騎打ちが素晴らしい。子供のころから愛用していたバットが砕けた後、球団のバット・ボーイが自分専用のバットを与え、特大のサヨナラ逆転ホームランを主人公が打ち上げる展開は、過去の自分と対峙し、運ではなく実力を信じ、全てを乗り越えた瞬間として力強く、かつ美しく描かれている。闇をまばゆい光で照らし出す大量の火花こそ、主人公への“祝福”なのだ。
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