「007/危機一発(ロシアより愛をこめて)」を観た。

Category : 劇場公開作品

 4月30日(月)、TOHOシネマズ水戸内原にて。
寝台車の窓から見える雲は不穏さを漂わせており、これからボンドを襲う数々の危機を予感させる。
 確かにその後の展開はハラハラさせてくれるが、ボンドの繰り出すアクションには暗さなど微塵もなく、活劇の持つ痛快さに溢れている。狭い車内での殺し屋との格闘、岩場でのヘリコプターとの戦い、一発逆転のボートチェイスなど、幾分くどい異国情緒によってテンポの鈍かった物語のテンションを一気に上げてみせる。
 また、殺し屋がボンドの首をワイヤーで絞めるシーンや、殺し屋の肉体をじっと見ていた女大佐がナックルダスターでいきなり腹を殴りつけるシーンなど、ハッとさせられる瞬間も多い。暴力が静けさを破って顔を覗かせる一瞬が、異様な不気味さを放つのだ。
 しかしその反面、暴力が滑稽に映る時もある。メイドに変装した大佐が靴に仕込まれたナイフでボンドを殺そうとするシーンは迫力があるが、服装とミスマッチな大佐のくたびれた表情のため、その必死さが逆に笑いを誘うのだ。
 相反する要素を行きつ戻りつしながらも、作品のバランスが保たれているのが本作の魅力である。エログロの一歩手前で踏みとどまる艶めかしさも、変に気取っていない分、醜悪に陥っていない。
 それは結局、英国諜報員ジェームズ・ボンドその人の魅力でもある。幾多の危機的状況をスマートに切り抜け、任務とあれば目がない美女にも非情に振る舞い、どんな時でもユーモアを忘れない。“大熱演”が映されたフィルムを投げ捨てた後の、粋で艶めかしい手の動きは、演じるショーン・コネリーのダンディーさがなければ、ギャグにしかならなかっただろう。
 物語にもアクションシーンのような瞬発力がもっとあれば、より楽しめる作品になったかと思うと残念であるが、ゆったりとした展開も、英国特有の優雅さと解釈しておこうか。

 追記
 サディスティックな殺し屋を演じた、若き日のロバート・ショーが目を引く。「活劇帝王70’s マグナム・アクション映画列伝」で新田隆男氏が論じていたように、『サブウェイ・パニック』(74)や『ジョーズ』(75)、そして『ブラック・サンデー』(77)など、ハンターを演じさせたら右に出る者はいないであろう彼の、まだキャラクターを確立していない、鋭い目つきとは裏腹な小物の雰囲気が不思議と印象に残る。
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コメント:

こんばんは

先日はコメントありがとう。
懐かしい映画ですね^^ 最近はブログの関係上、ヒューマン的な
映画ばかり観て、飽き飽きしてきました。
時にはこういう映画を観るのも、スカッとしていいかも知れませんね。
DVDは持っているので、連休中に観ようと思います。

いつも応援ありがとうね^^

コメント、ありがとうございます。

 ローマ時代の地下貯水池にネズミが溢れるシーンを観ていると、スピルバーグの『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』は、本作から大きな影響を受けているし、インディの父親はショーン・コネリーしかいないなぁとも思います(笑)。作り手のキャッチボールといいますか、こういう遊び心とリスペクトの気持ちは、映画を観ていて気持ち良いものだなと感じます。

No title

拙ブログにお越し頂いてありがとうございました。
「危機一発」で忘れられないシーンといえば、グラントが「ワインを選び間違える」シーンですね。これでボンドが怪しみ始め、有名な「列車内の大乱闘」へと繋がって行きます。グラント役のロバート・ショーといえば、「バルジ大作戦」もいいですよ。それでは、さようなら。

Re: No title

 コメント、ありがとうございます。
 後半のアクションは、どれも映画史に残してもいいくらい、充実していると思います。「バルジ大作戦」は未見なので、観てみたいと思います。
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