「外事警察 その男に騙されるな」を観た。

Category : 劇場公開作品

 6月7日(木)、シネマサンシャイン土浦にて。
 物語の中盤、核開発の技術者である徐が主人公の住本をじっと見て、「公安が人を騙す時の眼だ・・・」と呟くシーンがある。
 “国益”の本質を曝け出し、己の行動がいかに空虚なものであるかを住本に突きつける、静かながらも緊張感に溢れた場面であるが、相手を警戒しながらゆっくりと薄暗い部屋から出てくる徐の登場シーンも、その鋭い眼差しが恐ろしい程の力強さを漲らせている。クライマックスで、自分の信念を住本に語りかける時の眼も、正気と狂気を同時に宿した、異様な迫力に満ちていた。
 対する住本も、徐の言葉にたじろぐだけかと思いきや、徐の命が残りわずかだと察知した瞬間、医師に自白剤を強要する。ターゲットの弱みを握って協力者に仕立て上げる際の、真摯さと狡猾さの入り混じった眼や、任務を遂行する際の、湧き上がる感情を力ずくで押し殺したかのような厳しい眼は、時折画面を覆う陰影によって塗りつぶされ、彼が本当は何を考えているのかさえ分からなくしてしまう。
 “感情を宿した眼”の徐と“感情を殺した眼”の住本という、一見相対する二人が、国家さえも超越してゆく激しい信念を持つ点で表裏一体という、「眼」でテーマを語るところに本作の面白さがあり、演じる田中泯と渡部篤郎の力量が充分発揮されていると言っていいだろう。
 アップの使い過ぎで空間の広がりを感じさせないために、アクションのスケールが小さく見えて貧相なのにはガクッときたし、後半は「家族愛」に物語の軸が移ってゆくために、住本の行動からピカレスクな爽快感が薄まってしまったのが残念だ。
 それでも、極力色彩を排除した重々しい映像は、外交の表舞台から遠く離れた、静かながらも熾烈なドラマに濃厚なコクを与えている。これがなければ、二人の眼から何の情動も生まれなかっただろう。
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