「ハングリー・ラビット」を観た。

Category : 劇場公開作品

 6月22日(金)、シネプレックスつくばにて。
 ロジャー・ドナルドソンは、“中途半端”な監督である。
 どの作品も役者たちの巧みな演技と手堅い演出が身上であるが、『追いつめられて』(87)のようにキレ味に乏しい作品もあれば、『バンク・ジョブ』(08)のような緊張感に溢れた作品をモノにすることもある。
 両者の違いは、「物語が先か、人物が先か」とでも言ったらいいだろうか。ドナルドソンは、物語が登場人物を包含するような作品は不得手だが、登場人物が物語を紡いでいる形の作品で自分の手腕を発揮するタイプのようだ。
 しかし彼の職人的なソツのない手捌きによって、前者は物語から登場人物たちの焦燥を滲み出させてそれほど飽きさせないし、後者は登場人物たちの感情が物語に要領よく収まって逆に物足りないという、失敗作でも傑作でもない、なんともアンバランスな雰囲気がどの作品にも漂っているのである。
 本作も俳優たちの演技がいい。主役であるニコラス・ケイジの、代理殺人の見返りを強要されて心理的に追いつめられる時の表情や、ハイウェイを駆け抜ける時のオロオロした動きが、ヒーローではない一般市民の焦燥を感じさせる。彼の妻を演じるジャニュアリー・ジョーンズも、ケイジの差し伸べた手を無意識に払いのけるシーンや、身を守るために夢中で射撃の練習をするシーンなど、暴行のトラウマから抜け出そうとする女性の狂気と紙一重の必死さが、観る者にダイレクトに伝わってくる。ガイ・ピアースやサンダー・バークレイといった脇を固める役者の存在感もドッシリしている。
 とはいうものの、ジョーンズがケイジの選択をなんの葛藤もなしに受け入れたり、後半のクライマックスへの伏線が妙に説明的だったりと、展開がギクシャクしており、アクションも案外平凡。舞台となるニューオーリンズの雰囲気も薄味だ。物語を語る手腕は少し鈍ったようだが、相変わらずカッチリまとめあげるので、どうも言葉に窮してしまう。
 映画としては佳作だが、やはり“中途半端”。ドナルドソンが自分の限界を超える時は来るのだろうか・・・。
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