「崖っぷちの男」を観る。

Category : 劇場公開作品

 7月8日(日)、シネマサンシャイン土浦にて。
 往年のプログラム・ピクチャーのような、キッチリとした面白さが味わえる快作だ。
 絶体絶命の状況を知恵と度胸を振り絞って打破しようとする奮闘ぶりはもちろんのこと、突入部隊の追跡を振り切るために力の限り疾走する主人公の姿は、ビルの縁という派手な動きを一切封じられた状態を一気に打ち破る意外性と痛快さに満ちており、思わず手に汗握ってしまう。
 主人公を演じているのはサム・ワーシントンだが、彼は『アバター』(09)でも両脚を失った男を演じていたため、なるほど肉体の躍動を観客の脳裏に刻みこむには、まさに適役だ。クライマックスで見せる大跳躍は、気持ちいいことこの上ない。
 また、ワーシントンの弟を演じるジェイミー・ベルも、監視カメラが作動していないか確認するため、レンズの目の前でいきなり踊り始めるシーンがあるが、これもベルが主演した『リトル・ダンサー』(00)を想起させ、思わず笑ってしまう。
 そして、これまでの出演作のイメージが最も上手く引き出されているのが、ウィリアム・サドラーだろう。『ダイ・ハード2』(90)での悪役から、TVドラマ『ザ・パシフィック』(10)の軍人まで、なにか途方もないことをやらかしそうな雰囲気を醸し出しているが、本作でもただのホテルマンのわけがなく、作品の爽快感を一気に引き上げている。
 難を言えば、エドワード・バーンズやキーラ・セジウィックにはもっと活躍してほしかったし、前半での回想シーンは説明的で物語の流れを停滞させているため、もっと話を絞り込んでいたら、作品にタイトな面白さが生まれていたかと思うと残念である。
 とはいうものの、金と権力を独り占めする強者に、仲間たちの協力によって立ち向かう弱者という設定は、時代の必然である以上に、どんな時でも観る者をスカッとさせる気分の良さがある。ヤンチャな男女に銃を突きつけられ、手錠で繋がれた金庫を引き摺りながら助けを呼ぼうとするエド・ハリスの、なんとも滑稽なことか。思えば彼も、『トゥルーマン・ショー』(98)で人間の運命を支配しようとしていたっけ。
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映画「崖っぷちの男」落ちそうで時々、下半身がヒューってする

「崖っぷちの男」★★★★ サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、 エド・ハリス、ジェイミー・ベル出演 アスガー・レス監督、 102分、2012年7月7日公開 2012,アメリカ,ディズニー
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