「ダークナイト ライジング」を観た。

Category : 劇場公開作品

 8月5日(日)、ユナイテッドシネマとしまえんにて。
 怪人ベインの策略によって全てを失い、“闇の騎士”として挑んだ戦いにも無残に敗れ、巨大な地下の監獄に突き落とされたブルース・ウェインが、幾度もの挑戦の末に地上へと這い上がる場面がある。
 新たな境地に到達した男の姿が刻印された力強いシーンなのだが、敵の乗り越えた試練を同じ方法でブルースが乗り越えるという、戦う相手と同等の精神力を主人公が初めて持ち得たことが描かれたと同時に、両者が表裏一体の似た者同士であることに気づかされる。
 また、ベインの背後に潜む首領の境遇もブルースのそれと似ており、シリーズを通して描かれてきた、曖昧な善悪の境界や、自分の存在証明のために敵を求めてしまうというパラドックスが、ここでも繰り返される。
 しかし、そのような際どい境界線を綱渡りする登場人物たちは、一方では自らの信念のために人々を大量殺戮しようとする者たち、もう一方は自らの意志によって人々を守ろうとする者たちとに分かれ、試練を乗り越えた“闇の騎士”は雪の吹き荒ぶ太陽の下で悪と戦い、勝利することで、“光の騎士”としてその存在を昇華させている。
 バットマンを闇から光へと引き摺り出すという展開は意表を突いた驚きがあったが、それは映像も同様で、キャリアカーをジャンプ台替わりにして、バットマンが警官たちの頭上をバットポッドで跳び越えるシーンや、ハイジャックした飛行機を、ベインの一団が逆さまにして地上に落とすシーンなど、ともすれば重苦しくなりがちな物語に、娯楽ならではの興奮を刻み込んでいる。
 そして、新たな一歩を踏み出した登場人物たちの感情が交錯するラストは、この上もなく爽快である。『プレステージ』(06)や『インセプション』(10)でもそうだったが、監督のクリストファー・ノーランは、感情の渦を巻き起こすことによって、映像に情動を与えるのが抜群に上手い。
 首領の死に様が消化不良なのが引っかかるが、正義の側であろうとするヒーローに私的制裁は無用だ。まさに三部作の締めくくりに相応しい傑作となった。
 そういえば、暗闇の中、ビルの合間を駆け抜けてゆく“ザ・バット”の姿は、まるで『ブレードランナー』(82)だが、ノーランの控えめなシネフィルぶりも、作品にそっとエクボを添えている気がしてならない。
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コメント:

バットマシーンと女

こんばんわ。
楽しんで拝見させていただいております。
ナイトライジングを最近観たのでついつい
コメントしました。

昔からバットマンシリーズを楽しんでいます。

最近のバットマンは、精神的にも肉体的にも
弱くなっているようで少しさみしいですが。。
昔は、めっちゃ強い夜のヒーローだったような。
時代背景とともにヒーローの描き方が変わるんですね。

強くなっているのはバットマシーンと女だけでしょうか。。。

ではまた遊びに来ます。
今後ともごひいきに。

Re: バットマシーンと女

 コメント、ありがとうございます。
 個人的には、旧シリーズよりも、ノーラン版のバットマンに愛着があります。バットマンの物語というよりは、ブルース・ウェインの物語ではありますが、だからこそ『ダークナイト ライジング』での、井戸のような巨大な地下牢獄から這い上がるシーンに感動し、勇気づけられもしたんだと思います。
 それにしても本作でのアン・ハサウェイはきれいでした。今後ともよろしくお願いします。
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