8月12日(土)、109シネマズ二子玉川にて。
 主人公のスパイダーマン=ピーター・パーカーが、トニー・スタークに一人前のヒーローとして認めてもらいたいがために、独りよがりな行動によって多くの人々の命を危険に晒してしまう物語を、観客にハラハラドキドキさせる演出で引っ張ってゆくには、少年たちの悪戯心が取り返しのつかない惨劇を引き起こしてしまう『コップ・カー』(15)を監督したジョン・ワッツの手腕が必要だったに違いない。
 しかし、『コップ・カー』が出口の見えない息苦しさを感じさせるラストであったのに対し、本作では、自分の軽率さを悔いたパーカーが、“ヒーローになることの決意”によって強敵に立ち向かい、事件を解決させる。そんな彼の決意が、苦い結果を伴うことになるのではあるけれど・・・。
 サム・ライミの監督したシリーズ(02~07)や、マーク・ウェブの手がけたシリーズ(12~14)と、リブートにそれほど間が開いていないためか、ピーターがどうして超人的な力を持つことができたのかが短い台詞で語られるだけなのは少々首を傾げるし、マイケル・キートンが好演しているとはいえ、悪役のバックボーンをもう少し踏み込んで描いてほしかった気がしないでもないが、熱意が空回りしながらも一生懸命に頑張るティーンエイジャー・ヒーローには、どうしても胸が熱くなる。
 なによりも、目的地になかなか到着できずに、夜のゴルフコースをあたふたと横切ってゆくスパイダーマンを、ロングショットで小さく捉えたカットが、いかにもワッツらしくて最高。
 8月12日(土)、109シネマズ二子玉川にて。
 人類の歴史に金属生命体であるトランスフォーマーたちが関わっていたという、1980~90年代に矢追純一のUFO番組で特集でもされていそうな物語は、展開が混乱していてどうにも理解できないし、戦闘に赴く主人公たち以外に人のいる気配の全くしないストーンヘンジでラストバトルが繰り広げられるために、逃げ惑う人々が描かれず人類滅亡の危機が感じられないし、マイケル・ベイ作品のトレードマークである大爆発も、前作の「トランスフォーマー/ロストエイジ」(14)よりもなんだかおとなしく、少々期待外れではある。
 それでも、人類の味方であるオートボットのバンブルビーが、自分の体をバラバラにして敵を油断させた後に再び合体して戦闘するところや、スクィークスやコグマンといった体の小さいトランスフォーマーたちが、いざという時に己の能力を発揮して巨大な仲間たちを助けるシーンは、けっこう「おっ!」と思わせるし、オートボットのリーダーであるオプティマス・プライムが、アクションでポーズをキメながら、「私はオプティマス・プライム」とシリーズ恒例の台詞を炸裂させるところは、相変わらずカッコイイ(それでいて相変わらず間抜けでもある)。
 前述した人類滅亡の切迫感が希薄なのも、これまでのシリーズで散々絶望的な状況に追い込まれたために、人々の危機感がイカレてしまったのではないかというくらい、マンネリにも程があるけれども、チラッと光るところもある作品ではある。
 超大作であるにもかかわらず、エンドクレジットがやたらと短いしね。
 5月18日(木)、USシネマつくばにて。
 病院のベンチや探偵事務所で語り合ったり、海岸で遠くを見て佇んでいたりと、主人公と新米刑事の“2人の男”を捉えたシーンが画になっており、カッコイイ。
 主人公がスーツを装着しても敵に何度もボコボコにされるし、刑事も銃が撃てないへっぴり腰なのだが、“本当の自分”を知った時に己の力を発揮するところが、「若者の成長物語」としてアツい。
 肉体を駆使したアクションは迫力があるのだが、オープニングで倒される敵たちの表情が捉えられていないため、主人公の繰り出す最強拳法・破裏拳の威力が伝わり切れていなかったり、ポリマー・スーツの力を目の当たりにして、慌てふためいて人質を置き去りにして逃げてゆくギャングたちが間抜けにも程があったり、後半はアクションのインフレがやたらとCGに頼り過ぎているきらいはあるが、Wヒロインのキレイな原幹恵と可愛い柳ゆり菜がを見るだけでも価値がある。
 それにしても、最後の敵がちょっとシブ過ぎないか・・・。
 5月5日(金)、シネプレックスつくばにて。
 電気椅子送りが決まった主人公の兄が、いままで信仰してきたユダヤ教から、来世の存在を認めているキリスト教に改宗し、それを聞いた母親が怒るシーンでは、話のメインが「死刑」よりも「改宗」になっており、自身もユダヤ人であるウディ・アレンらしいところだが、主人公のホレた女性に恋人がいることや、後に互いに結婚した二人が再会する展開も、“いかにもドラマ!”とは描かれず、飄々としたテンポで物語が進んでゆく。
 ヒロインの「夢は―夢よ」という台詞や、ラストで物思いに耽る主人公の表情を見ていると、つい『ラ・ラ・ランド』(16)を連想したが、毛色の違う『マッチポイント』(05)や『ウディ・アレンの夢と犯罪』(07)でも、“あの時、違う選択をしていたら・・・”というテーマが、登場人物たちの業を俯瞰するように描かれており、本作ではもっと主人公に寄り添った演出がなされている。
 ゴージャスでコクのある映像に目を引かれたが、『暗殺の森』(70)のヴィットリオ・ストラーロだと知って納得である。
 4月25日(火)、USシネマつくばにて。
 『キングダム/見えざる敵』(07)や『ローン・サバイバー』(13)で、監督のピーター・バーグは「音」を効果的に使うのが巧かったが、実話を基にした本作でも、石油掘削施設の内部に泥水が少しずつ漏れだした後、瞬く間に施設全体をのみ込むように噴出し、機械の破片が作業員たちに容赦なく降りかかり、そして一気に炎が燃えさかる展開を、不気味な静寂や耳をつんざくような爆発音によって、まるで観客を災害の現場に突き落とすようであり、「もうやめてくれ!」と叫びたくなるような臨場感が凄まじい。
 しかし、物語の前半で、主人公たちの人物描写と事故に至るまでの過程をじっくりと描いているにも関わらず、後半での未曾有の大火災からの脱出との絡みが少々弱い。事実を正確に映画にしようという意図は理解できるものの、映画がブツ切れになってしまったのが残念だ。
 それでも、怪我を負った仲間を一人ひとり助けるために、危険な状況でも奮闘した人々と彼らの生還を祈る家族、そして事故で犠牲になった作業員たちへの敬意は、ストレートに伝わってくる。
 作り手たちの誠実な姿勢が胸に響く作品となった。
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