5月31日(木)、USシネマつくばにて。
 誘拐されたジャン・ポール・ゲティ三世の血まみれの片耳が新聞社に送られてくるシーンは、『ハンニバル』(01)や『悪の法則』(13)で目を覆いたくなるバイオレンスを観客にぶつけてきたリドリー・スコットらしい描写でゾクゾクさせられる。
 また、犯罪組織のアジトでバアサンたちが札束を数えているシーンが、『It’s A Man’s Man’s Man’s World』のソウルな曲調と相まって、とてもカッコいい。ここらへんは『アメリカン・ギャングスター』(08)で既に証明済みだ。
 他にも、幼いポールと祖父のジャン・ポール・ゲティを包み込むかのように、ローマ皇帝の別荘の遺跡に綿を千切ったような雪が舞うシーンは、『グラディエーター』(00)を想起させ、暴力もソウルミュージックも自然の美しさもガバッと取り入れてひとつの作品をクリエイトしてしまうスコットの映像力を堪能できる。
 ポールとゲティの運命をクロスさせて描く後半のクライマックスからはドラマティックな効果が出ているとは言い難いし、マーク・ウォールバーグの演じる弁護士はいてもいなくてもいいようであり、物語の構成がいまいちピリッとしていないのもスコット作品の物足りないところだが、「相手の命を奪えるにも関わらず、殺しはせずに生かそうとする」登場人物が存在するのは、スコットのオブセッションのような気がしてならない。
 非力な一人の女性が勇気を持って強大な敵に立ち向かう展開は、偶然とはいえ、本作と同じ2017年に製作されたスティーヴン・スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』とそっくり。どちらの作品にも新聞が風に飛ばされて空を舞うカットがあるしね。
 まぁ、本作の場合は、誘拐犯よりも“身内”のほうが遥かに強敵なのだけれど・・・。
 6月3日(日)、MOVIXつくばにて。
 人間の生き残りと思しき「フツア」の巫女である姉妹の登場は、モスラと共にいる小美人を連想させるし、異星人の「ビルサルド」が“自立思考金属体”と同化してゴジラを倒そうする展開は、なんだか『美女と液体人間』(58)のようでもあり、これまでの東宝特撮映画の要素がちょいちょい取り入れられている。
 また、文明の発展のために地球を荒廃させた人類が生み出したゴジラを倒すためには人間の心を捨てなければいけないという「ビルサルド」の主張は、「本当の怪獣はそれを作った人間」であるという『ゴジラVSビオランテ』(89)のテーマと通底しており、下っ腹にズシンとくる作品ではある。
 しかし、登場人物たちの哲学じみた会話が物語を停滞させており、「さっさと話を進めろよ!」と言いたくなるほど鈍重である。前作の『GODZILLA 怪獣惑星』(17)も展開がノロかったが、「まぁ一本目はいろいろと説明しなけりゃならないからしゃーないか」とは二作目にもなるとさすがに思えず、再び退屈してしまった。せっかくゾクゾクするタイトルなのに勿体ないにも程がある。
 今回はビックリな登場をするメカゴジラだが、ゴジラファンがイメージするデザインでのバトルが観たかったかなぁ・・・。でも圧倒的に強いゴジラはイイね。
 5月26日(土)、録画にて。
 本作の配給会社である東宝のマークが目玉焼きに変わる二重写しのオープニングは、『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(81)のようで笑ってしまったが、女が男を犯罪に引き込むという物語の骨格は、まるでアメリカ映画のフィルム・ノワールのようである。ただし、圧倒的に可愛い小泉今日子とやたらとオドオドした真田広之がコンビとなると、盗みをしようとしても失敗ばかりで、却って「元手」が掛かって「赤字」になってしまうというドジっぷりが、やはり犯罪映画のパロディなのである。
 もしかしたら、監督の和田誠は、自身が手がけたアニメーションの『殺人 MURDER!』(64)のようなサスペンスのパロディを、実写として撮りたかったのかもしれない。電気椅子で処刑されたり機関銃で射殺されたりと、真田が悪夢にうなされるところも、なんだか『虹を掴む男』(47)のようにコミカルだしね。
 二人の住むアパートから見える空や街が書割で表現されており、「大人になりきれていない若者たちのおとぎ話」感が漂っている。イラストレーターである和田のタッチをそのまま実写にしたかのようだし、ノスタルジックな雰囲気が作品にピッタリである。
 天本英世や名古屋章といったベテランが楽しそうに演じているところがグッド。登場人物たちの笑顔が映し出されるエンドロールも和やかでイイ。なによりもキョンキョンのアップがキュートでたまらないのだよ!
 5月19日(土)、TOHOシネマズ日比谷にて。
 ドウェイン・ジョンソン演じる霊長類学者と白いゴリラのジョージとの友情は、テレビ作品の『ウルトラQ』(66)の「五郎とゴロー」を髣髴とさせるし、失敗した遺伝子操作実験の巻き添えを喰らい、ジョージの体がどんどんデカくなるにつれて、彼を囲む檻も大きくなってゆくところは、『フランケンシュタイン対地底怪獣』(65)を思わせるし、ワルな姉弟が放った電波によって誘導された巨獣たちが、街を破壊しながらズンズンと進行してゆく展開は、まるで『怪獣大戦争』(65)のようだし・・・と、日本の特撮怪獣モノをついついイメージしてしまうほど、ストレートな怪獣映画になっている。
 また、どう見たって霊長類学者とは思えないマッチョなジョンソンも、元特殊部隊の兵士という「言い訳」・・・ではなくて「設定」がなされているため、ちょっと手こずっただけでヘリコプターも操縦できてしまうし、「弾丸が急所を外れなくても、たぶん生きているだろうなぁ」と、爆笑とともに力技でなんだか納得させられてしまう。倒壊したビルの窓ガラスの上をジョンソンが駆け抜ける足下で、ワニの巨獣が目をギラつかせて襲ってくるカットは、なかなかの迫力。
 物語の前半に登場するジョンソンの仲間たちが、後半になると全く登場しなかったり、オオカミの巨獣が尻尾から針を飛ばす必殺技も、その後の三匹の死闘では全く使わなかったりと、ちょこちょこと残念なところはあるのだが、勢いで爆走する物語が巨獣たちの大暴れを引き立てて、お腹いっぱいなのである。ワニの巨獣が叫ぶ度にIMAXの劇場がブルブルと振動してイイ感じ。ナオミ・ハリスはキレイだね。
 5月18日(金)、シネマサンシャイン土浦にて。
 暑苦しい警察署の取調室で、型破りな刑事の大上が行方不明となった男の妻と冷えたかき氷を食べるシーンは、まるで『野良犬』(49)のようだが、新米の刑事がベテラン刑事の“教育”によって成長してゆく物語でもあり、荒ぶる魂たちがぶつかり合う『仁義なき戦い』(73)の激しいタッチで映像が構成されながらも、黒澤明による刑事映画の傑作の雰囲気も漂っている。松坂桃李演じる新米刑事が大胆な行動に打って出るクライマックスでは、『用心棒』(61)を思い出したよ。
 目を覆いたくなるようなバイオレンスが繰り広げられるが、広島の夜の繁華街に降りそそぐ激しい雨が、登場人物たちの感情を反映しているかのようで、かなりノワーリッシュであった。
 後半は少々ウェットに偏ってちょっと白けるが、『NYPD15分署』(99)をも想起させる展開は、日本のヤクザ映画にハリウッド映画をぶっつけたようで、ヒリヒリとした緊張感が漲っていた。
 肩を動かさないでズンズンと歩いてゆく松坂の後ろ姿は、まるで『PAYBACK Straight Up: the Director’s Cut』(07)のメル・ギブソンを彷彿とさせた。江口洋介には日本刀がよく似合う。
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